画像処理

2017年4月12日 (水)

出目金レンズの強い味方。

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出目金レンズとは上の写真のようにレンズの前玉がドーム状に手前に大きく膨らんだレンズのことですが、魚眼や超広角レンズなどに多いですね。このタイプのレンズは、ちょっと困ったこともありまして、形状から逆光が苦手、フードが短くて夜露対策が難しい、普通のフィルターが使えない…、というデメリットがあります。逆光に関しては、夜の撮影なので、そんなに影響を受けないかもしれませんが、それでも地上の眩しい照明などには気をつける必要があります。夜露はレンズが剥き出しなので付きやすいです。強力なヒーターを重ね巻きしたりしてなんとか防ぐしかないでしょう。フィルターは取り付けられません。ネジすらありません。それでも星座の形が目立つように輝星はソフトフィルターでボカしたいですね。裏技的に大型のフィルター枠をはめて角形フィルターを使う手(こちら)はあるかもしれませんが、夜露対策はどうするのか…。そんな出目金レンズのソフトフィルター問題を解決してくれるソフトが、ぴんたんさんが作った「FlatAidePro」です。この画像処理ソフトのメイン機能はフラット補正なんですが、オマケ機能で「ソフトフィルター効果」というのがあって、これがなかなか面白くて、すっかり気に入ってしまいました。そのほかにも盛りだくさんの機能があるので、興味のある方はこちらからどうぞ。「飽和復元合成」機能などは、かなり使えそうです。さて、ソフトフィルター効果を試してみましょう。
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元画像
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ソフトフィルター効果適用後
 
画像はシグマの広角20mmで撮影したものです。ノーマルカメラなので、赤い星雲が写ってないので、とても寂しい冬の天の川ですが、ソフトフィルター効果で輝星をボカすと、なんとも美しい冬のダイヤモンドが浮かんできます。フィルター効果は「サイズ」や「明るさ」「彩度」などの複数のパラメータで調節できます。FlatAideProのおかげで、出目金レンズの出番がますます増えそうです。
 
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2016年3月20日 (日)

光害カブリ補正とノイズ低減。

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美しい冬の天の川です。ソフトフィルターを使って輝星をボカし、優しい星の輝きに包まれたような雰囲気のある画像に仕上がっています。これはSWAT-350ユーザーさんがご自宅で撮影したものですが、元画像は光害カブリがあったため画像処理で修正してあります。その修正方法をブログで紹介して欲しいとのご要望があったため、簡単な方法をご紹介します。まず元画像ですが、下のような感じです。なお、レタッチにはPhotoshopを使っています。
 

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冬の大三角形の中心付近が暗く、周辺にいくほど赤っぽい光害カブリがあります。特に右下方向が酷いです。これだけカブっていると何段階かに分けて処理した方がやりやすいです。
 

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まず、光害があるエリアを選択します。別レイヤーにコピーしますがこのとき「境界をぼかす」で適宜数値を調整して、下の画像程度になるようにしてください。
 

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コピーした光害エリア。背景は透明です。
 

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「レベル調整」または「トーンカーブ」で光害のない部分となじむように明るさを調整します。赤い色味は「彩度」を下げて目立たなくします。画像ではレイヤー単独でレベル調整してますが、実際には背景も一緒に表示しておくとわかりやすいです。 

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一回では修正し切れなった部分を同じように処理していきます。
 

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画像の左上に表示されているように4レイヤーに分けて段階的に調整しています。すべてのレイヤーを表示して、各レイヤーのトーンカーブや透明度を変えて全体が馴染むようにバランス調整して画像を統合します。最後にトーンカーブ(コントラストなど)や部分的な焼き込み、覆い焼き、彩度などで微調整して仕上げます。
 
続いてM81銀河です。まず元画像をご覧ください。

M81_3

高感度で撮影した複数の画像をコンポジットして、銀河の腕の淡い部分を炙り出しています。なかなかの出来ですが、高感度ゆえに背景にカラフルなノイズやザラツキが出てしまうことがあります。これも画像処理ソフトで目立たなく出来ますので、試してみましょう。
 
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メニューの「フィルター」→「ノイズ」→「ノイズを低減」で、各スライドバーを調整します。ついでに背景のザラツキも少し調整しました。
 

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若干ですがノイズが目立たなくなりました。まだ背景のムラが気になりますね。これくらいのノイズになるとなかなか手強いです。

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トーンカーブの暗部側を上のように少し持ち上げてやると、背景のノイズが目立たなくなります。ただ星雲の淡い部分も少し消えてしまうので、あまりやりすぎないようにします。
 

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最後に全体の色調、トーン、シャープネスなどを整えて仕上げます。画像処理ソフトでひと手間かければ、これくらいまでは簡単に改善できます。元画像と比べてみてください。
 
今回のレタッチは、すべてPhotoshopで行っています。レタッチソフトによっては、ご紹介した機能がなかったりすることがあるかもしれませんので、ご了承ください。画像処理の参考書としてお勧めなのが、以前にも紹介した西條善弘さんの「天体写真のレタッチテクニック」(誠文堂新光社)です。画像処理に興味がある初心者の方は、ぜひご一読をお勧めします。

2015年9月27日 (日)

月面の画像処理。

月は光量も豊富なので、割と簡単に撮影できる対象です。まずは気軽に撮影してみてください。何度か撮影してみると、階調豊かに写すのが意外と難しいことに気づくと思います。露出不足の欠けぎわとオーバーの日が当たる側が、一枚ではなかなか綺麗に表現できないのです。ラチチュード(ダイナミックレンジ)を広げる方法に、HDR合成というのがありますけど、月はそれに適した対象かもしれませんね。さて今回は、Photoshopによる画像処理で月を階調豊かに表現してみます。といってもごく簡単な処理ですので、ぜひ試してみてください。
 

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まずは、8月7日にボーグ90FLで撮影した下弦の月です。Registaxで50枚スタックしたあとの画像です。これをベースに仕上げていきましょう。
 

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最初の画像を元にレベル補正を使って、欠けぎわが適正(左)、中間部が適正(中)、周縁部が適正(右)の3つの画像をレイヤーに作ります。
 

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作った3枚のレイヤー画像から、欠けぎわ(左)と周縁部(右)のそれぞれ使う部分を切り出します。切り出すときに選択範囲メニューの「境界をぼかす」でグラデーションにします。数値は解像度によって変わりますので、試しながら適宜調整してください。ぼかしてグラデーションになった部分は、上の画像では背景が白ですが、実際のレイヤー上では透明です。それを真ん中の画像の中間部にズレないように重ねます。
 

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重ねた直後の画像。トーンが合ってないですね。中間部と重ねたレイヤーの透明度やトーンカーブを弄って、それぞれが自然になじむような感じに調整します。
 

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レイヤーを統合して一枚にします。最後にトーンを微調整して、アンシャープで仕上げます。これで完成。手動HDR処理みたいな感じですけど、結構いい感じで仕上がります。撮影の時に露出を変えて撮るともっと高画質が期待できます。

印画紙時代の覆い焼きや焼き込み的な方法もデジタルだと簡単で、しかも気に入った作品になるまで、何度でもやり直しができます。印画紙の無駄も出ないし、もうフィルム時代には戻れないですね。(笑)

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2015年9月26日 (土)

赤い散光星雲の画像処理。

先日のブログで、アンドロメダ銀河の画像処理について書きましたが、初心者の方は「そんなこともできるのか」と思われたでしょう。ベテランの方の美しい天体写真も実際には画像処理ソフトで相当に調整していて、正直言って撮っただけではイマイチなんです。さて、赤い散光星雲はHα線という赤い波長が多く含まれていますが、一般撮影向けのカメラではカラーバランスの関係で、この波長域を内蔵フィルターでカットしています。なので天体用にはカメラの改造が必要で、この内蔵フィルターを赤い波長を透過するフィルターに換装します。これをしないと、写っても悲しいくらいに淡くしか写りません。内蔵フィルターの特性はメーカーによって異なりますので、無改造でもそこそこ写せる機種もあるようです。今回は改造カメラで撮影した赤い散光星雲をより綺麗に見せる簡単な方法をご紹介します。

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これは、ボーグ71FL+レデューサーをSWAT-350で1分間ノータッチがイドしたノートリ元画像です。カメラはキヤノンEOS 6DのIRフィルター改造機です。ご覧の通り、何となく北アメリカ星雲が写っている程度です。これを画像処理していきます。
 

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まず、前回のアンドロメダ星雲と同様に、固定パターンノイズと周辺減光を補正してコンポジットし、そして適当な構図(北を上)にトリミングします。
 

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レベル補正や彩度調整で、それなりに見栄えがしてきました。これでも充分なんですが、もっと強力に赤を強調してみましょう。
 

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ここでは、Photoshopの色調補正メニューにある「特定色域の選択」を使います。色域に、レッド系、イエロー系、ブルー系、グリーン系など、補正したい色域が選択できます。赤い星雲の場合、レッド系、マゼンタ系が効果があります。下のスライドバーは、シアン(水色)、マゼンタ(ピンク)、イエロー、ブラックの4種類ありますので、プレビューを見ながらバーをスライドさせて調整してみてください。仕上がった画像は下のようになります。
 

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参考のために、ちょっと強めに処理してますが、元画像と比べると雲泥の差ですね。ブラック系を選択すれば背景の黒の色調や締まり具合も調整できますから、自分なりに見栄えのする作品に仕上げてみてください。ちなみに、彩度やコントラスト調整だけでもそれなりに強調することができます。下をご覧ください。上手に組み合わせてみましょう。
 

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「特定色域の選択」が使えないソフトでは、彩度とコントラスト(レベル補正)だけでも、そんなに遜色なく仕上げられますが、背景にマゼンタのカブリが生じてきてます。もう少し控えめが綺麗でしょう。

作例画像は、ボーグ71FL+レデューサーF4で、わずか1分露出(ISO1600)を8枚コンポジットした画像です。短時間露出でも画像処理でうまく引き出せば、元画像とは比較にならないくらいの作品に仕上げられます。画像処理ソフトの機能をフルに使って自分なりに作り上げてください。これもデジタル時代の醍醐味ですね。

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2015年9月22日 (火)

勝負は画像処理!

月面が続いたので、今回は星雲についてです。先日、初心者のSWATユーザー様から、「作例のような画像にならないのですが…」という質問がきました。撮影した画像を見ても、どうもイマイチだなぁと思って、天文趣味をやめてしまっては、なんとももったいないです。そんなときは、画像処理によって、見違えることもあるので、下記を参考にしてみてください。

M31_5

これは先日のブログでご紹介したM31アンドロメダ銀河です。もともとの画像はどんなかというと…
 

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こんな感じで、とてもショボイですね。これはボーグ90FLにレデューサーをつけてF4なんですが、それにキヤノンEOS 6D(IR改造) ISO1600で90秒露出したノートリの元画像です。これくらいなら簡単に撮れます。これを画像処理していきます。
 

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まずは、ノイズ(固定パターンノイズ)と周辺減光を補正します。それぞれダーク、フラット補正といいますが、私は面倒なんでやってないです。上の画像は、目立つノイズをスタンプツールでチョイチョイと消して、周辺減光はソフトで適当にごまかしてます。ま、原理は一緒なんで…(笑) そしてざらついたランダムノイズを改善するために複数枚をコンポジットします。
 

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北を上にして適当な構図でトリミングしました。北を上にするのは、星図と見比べたりするとき便利だからです。地上を入れたり、他になにか特別な目的があるとき以外は、基本的に北を上にしたほうが良いでしょう。
 

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トーンカーブ(レベル補正、コントラスト)調整で、画像の基本的な明るさやコントラストを補正します。だんだんそれっぽくなってきました。
 
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そしてカラーバランスを整えます。彩度やバックの黒の色調やしまり具合、星雲の色などに注意しながら弄ってみてください。
 
M31

アンシャープマスクで整えます。仕上げの微調整をして完成です。さらに強力に処理してみると…
 

M31

ちょっと極端ですが、わざと星雲部分を明るくしてみました。さすがにここまでやるとやり過ぎですね。でも、元画像から、ここまで引き出せるということに注目してください。(星雲部分を選択的に処理しています)

元画像の露出はもっとオーバーでも大丈夫です。いつも作例写真を投稿していただいているHUQさんの場合は下のような感じです。 

Huqm33st_2

これが元画像です。かなり露出オーバーですね。でも、これをレベル補正すると…
 

Huqm33st2_3

M33が浮かび上がってきました。データがちゃんと淡い部分を保持していることがわかります。
 

Huqm33st3_4

画像処理完了! お見事です。HUQさん、ご協力ありがとうございました。

ご覧の通り、撮影後の画像処理で、仕上がりがまったく違ってきます。見栄えのする天体写真に仕上げていくのも、楽しみのひとつですので、ぜひチャレンジしてみてください。私は使い慣れたPhotoshopを使っていますが、先日の胎内星まつりで、天文用として評価の高いステライメージ7を入手しました。今後、試していきたいと思います。それから、ダークやフラットもちゃんとやらないと…(笑)
参考書としては、誠文堂新光社から出版されている西條善弘さん著「天体写真のレタッチテクニック」がお勧めです。
ずいぶん長い間、天体写真撮影から離れていて、デジタル時代になって復帰しましたが、いろいろ処理して痛切に感じるのは、画像処理の重要性です。上質な元画像を得ることは、もちろん重要であることに変わりないですが、撮影自体より画像処理の差で、天体写真の優劣が決まるような気がします。

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