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2019年7月

2019年7月30日 (火)

ハート星雲とソウル星雲(Starnet++再処理)。

愛媛県にお住まいの山田浩之様より、「IC1848(ソウル星雲)、IC1805(ハート星雲)」(Starnet++再処理)をお送りいただきましたので、ご紹介します。
 
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●IC1848(ソウル星雲)、IC1805(ハート星雲)
2018年11月10日23時38分~ ニコン Ai-S 180/F2.8 ED 絞りF4 ニコン D7000(ノーマル) ISO1600 露出360秒×32枚コンポジット SWAT-310によるノータッチ追尾 ダーク、フラット処理 RAP2 スタック DeepSkyStacker 調整 CaptureNX2等 撮影地 愛媛県砥部町
 
■コメント

お世話になります。
2018年12月13日(木)に掲載していただいた『ハート星雲とソウル星雲』を、最近話題になっている「Starnet++」で再処理してみましたのでお送りいたします。再処理する上でのポイントはマスクの品質と恒星の制御でしたが、個人的には概ね許容できる結果となりました。
マスクは従来方法よりも高品位なものが作成できます。今まではミニマムフィルターとダスト&スクラッチで恒星を消去していたのですが、それに比べてStarnetで処理したものは、より質感の高いものが生成されます。また今回の処理ではリンギング(恒星廻りの黒縁)回避のための、手作業での修正は不要でした。恒星の制御についてはスタック後の状態(強調処理する前の状態)を維持可能です。つまり肥大していない星像を抽出することができます。方法は一番上のレイヤーグループにスタック後の画像を置き、レベル調整で黒レベルをシフトして、グループのブレンドモードを比較明にしました。他の方法もあるのですが、調整結果がリアルタイムでわかるので、とりあえずこの方法を使いました。下層のレイヤーで星有りと星無しの画像をブレンドすると、恒星がグレーになりますがこの処理で回避できます。個人的には星像抽出用途で、星マスクはもう必要ないのではと思いました。

【参考】
  ▼恒星抽出レイヤーグループ(比較明)
    ■レベル調整 → 黒レベルを調整して恒星制御
    ■背景(スタック後の画像)

Starnetは処理画像がプログラムフォルダー内に収められている必要があるので、移動やコピーの手間を省くため、簡単なバッチファイルを作って処理しました。STRIDEを64(デフォルト値)にしていますが、128でも出力画像に明確な違いはありませんでした。[…]の部分を環境に合わせて修正後、ファイル名を例えば「starless.bat」としてPathの通ったフォルダに入れて、コマンドプロンプトで"starless FileName"として実行します。プログラムとファイルの検索のボックスに打ち込んでも実行できます。

【サンプル】
@echo off
cd /d [Working Folder Path]
move %1 [StarNet++ Install Path]~%1 >nul
cd /d [StarNet++ Install Path]
rgb_starnet++.exe ~%1 [OutputFileName].tif 64
move ~%1 [Working Folder Path]%1 >nul
move [OutputFileName].tif [Working Folder Path] >nul
pause

それとTIFFファイルのフォーマットによっては、読み込みエラーが発生することがあります。たいていはそのまま放置しておいても処理は完走しますが、気になる場合はImageMagickで再コンバートすれば解消します。
 
■係より
話題の「Starnet++ 」の使用レポートをお送りいただきました。再処理前の画像に比べて、明らかに恒星が抑制され、星雲が引き立って見えますね。普通に強調処理をすると星雲と恒星の両方とも影響を受けますが、Starnet++で恒星を除いた星雲のみの画像を作成して、それを強調処理し、恒星ありの元画像と合成することで恒星像には強調処理がかからず、グッと抑えた表現が可能になります。結果、星雲がより引き立つ画像が得られます。このStarnet++は、私は使ったことがないですが、コマンドラインで操作するらしいです。DOSの頃からパソコンを弄っていた人にはどってことないと思いますが、最近の人にはちょっと面倒かもしれませんね。でも昔のプログラムを動かしてる感が味わえます。(笑)

2019年7月22日 (月)

フジGFX100によるさそり座尾部。

1億画素のフジGFX100による作例、第3弾は「さそり座尾部」。撮影は千葉県市川市の外山保廣様です。
 
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●さそり座尾部
2019年7月5日22時09分~ フジ GF110mm F2 R LM WR 絞り F2.8 フジ GFX100 ISO6400 30秒露出×9枚コンポジット SWAT-310(V-spec β版)でノータッチ追尾 Photoshop CCで画像処理 撮影地 チリ アタカマ高原
  
■係より
1億画像のフジGFX100による作例、第3弾です。今回の総露出は驚きの4.5分です。5分足らずの露出で、こんなすごい画質が得られるとは、恐るべしです。構図は前回の天の川中心部から、南に下がって一部重なっています。点在する赤い星雲は、上から彼岸花星雲、出目金星雲、中央やや右(西)がえび星雲です。日本からだと南の空に低いため、透明度がよくないときれに写せない領域です。ちなみに東京からだとえび星雲の地平高度は15度弱、画像の下端がちょうど地平線あたりになります。それにしてもため息が出るほど素晴らしい仕上がりです。係が前回の作例とモザイク合成したものを下に掲載します。2枚の総露出がたったの12分! それでこのクォリティ! すごい時代になりましたね。モザイク画像は複雑に入り組んだ暗黒帯が恐ろしいほどです。外山さん、ありがとうございました。ぜひまたお送りください。
 
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2019年7月19日 (金)

フジGFX100による天の川中心部。

前回に続いて、チリで撮影した「天の川中心部」です。撮影は千葉県市川市の外山保廣様です。
 
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●天の川中心部
2019年7月5日21時40分~ フジ GF110mm F2 R LM WR 絞り F2.0開放~F2.8 フジ GFX100 ISO6400 30秒露出×15枚コンポジット SWAT-310(V-spec β版)でノータッチ追尾 Photoshop CCで画像処理 撮影地 チリ アタカマ高原

 
■係より
1億画像GFX100による作例、第2弾は天の川中心部です。総露出はわずかに7.5分ですが、こんなに素晴らしい画像が得られます。M8干潟星雲から彼岸花星雲にかけての濃い天の川と複雑に入り組む暗黒帯の対比があまりにも見事で、思わず引き込まれそうな感じです。1億画素では掲載できないため、上の画像は約200万画素まで1/50に縮小してます。参考のため撮って出しのピクセル等倍切り出しを下に掲載します。GFX100と純正110mmレンズの解像度をご覧ください。無公害の地ということもありますが、ISO6400、30秒露出でここまで写ります。
 
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2019年7月16日 (火)

フジGFX100によるみなみじゅうじ座。

千葉県市川市の外山保廣様より、チリで撮影した「みなみじゅうじ座」をお送りいただきましたので、早速ご紹介します。
 
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●みなみじゅうじ座
2019年7月5日21時05分~ フジ GF110mm F2 R LM WR 絞り F2.0開放~F2.8 フジ GFX100 ISO6400 30秒(F2) 60秒(F2.8)露出×16枚コンポジット SWAT-310(V-spec β版)でノータッチ追尾 Photoshop CCで画像処理 撮影地 チリ アタカマ高原
 
■係より
SWATの駆動回路でお世話になっている外山電子の外山保廣さんからお送りいただいた南天で撮影したみなみじゅうじ座です。機材がすごいです。発売されたばかりの1億画素GFX100に110mm F2レンズを組み合わせてます。いったいお幾らなんでしょう…(汗) 35mm判だと90mm相当の画角になるのでしょうか。ISO6400と高感度に設定、30秒~1分露出でノータッチ撮影しています。さすがに光害とは無縁のチリの空、素晴らしいコントラストで南十字付近の銀河を捉えています。入り組んだ暗黒帯や赤い星雲が美しいです。フジのカメラはノーマルでも赤い星雲が写ることで有名ですが、GFX100もバッチリ写ってますね。 南十字星の左下がコールサック(石炭袋)と呼ばれる暗黒星雲、右の赤い星雲がバット星雲(IC2944)です。

2019年7月14日 (日)

デネブ付近。

東京都八王子市の上村裕様より、はくちょう座の「デネブ付近」をお送りいただきましたので、早速ご紹介します。
 
Sadr

Sadr_nostar
●デネブ付近
2018年11月10日21時36分~ シグマ 105mm F1.4 DG HSM Art 絞り F2.5 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO1600 60秒露出×85枚コンポジット SWAT-350 M-GENによる1軸オートガイド PixInsightで画像処理 撮影地 長野県諏訪郡
 
■コメント
梅雨入りしてしばらく経ちますが、なかなか晴れ間が少ない関東地方です。平年通りであれば今月20日前後に梅雨明けでしょうか、待ち遠しいですね。今回は、デネブ付近を105mmで撮影したものをお送りします。とは言っても最近のものではなく、昨年11月に撮影していた在庫です。(笑) シーズン終盤に撮影したもので、季節感がずれていたこともありそのままにしていました。デネブのすぐそばには、定番の北アメリカ星雲やペリカン星雲、少し離れてサドル付近にも散光星雲が広範に分布しています。天の川の中で星が非常に多い領域ですが、その中に広がる暗黒帯の濃淡も見所のひとつです。微光星を除いた画像(下)をご覧いただければ、淡くうねる様に分布するHa輝線領域がお分かりいただけると思います。ここ最近は、PixInsightに実装されている測光的手法で色合わせをするプロセス(PCC)を使用しています。この画像もそのプロセスを使用してカラーキャリブレーションしたものです。この作例の場合、全体的に赤みを帯びているようなイメージになりますが星間赤化の影響でしょうか。属人的でないこのプロセスは、撮影対象に依存せず、再現性の高い結果が得られるので気に入っています。当然ながらルールがあるわけではありませんので、選択肢の一つとしてこのような手法があるという程度にとどめていただければ幸いです。詳しくお知りになりたい方は、この作例ページでもおなじみの蒼月さんがYouTubeで公開されているTipsがおすすめです。
 
■係より
さすがに梅雨本番とあって、ご投稿もぱったりと途絶えてしまいました。在庫画像とのことですが、そんなこと言ってられない状況で、とてもありがたいです。(笑) さて、天文用に開発されたといってもいいほどのシャープなレンズ、シグマ105mm F1.4 Artによるはくちょう座のデネブ付近です。F2.5の明るさに、コンポジット枚数も85枚(総露出1時間25分)と充分過ぎるほどで、ノイズが少なく階調も豊かです。北アメリカ星雲からサドル付近にかけてのHα星雲が滑らかに描出されています。なるほど、微恒星を消した画像だと星雲の広がりがよくわかりますね。今年の関東地方は梅雨の中休みもなく、ずっと曇りか雨で、梅雨らしいといえばそれまでですが、そろそろ星空が見たくなってきました。次の新月期はぜひとも晴れて欲しいですね。貴重なご投稿、ありがとうございました。他にも蔵出し画像があったら送ってください。(笑) よろしくお願いします。

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