SWATシリーズのベアリングレイアウトについて。
上の図は、SWAT-300とSWAT-350の極軸ベアリングレイアウトの概念図です。ウォームホイールは同じでも極軸のベアリングはまったく異なります。SWAT-200は基本的にSWAT-300と同様のレイアウトですが、ホイール径がφ85mmになります。
極軸をガッチリ保持するには、小型のベアリングを2個以上用いて間隔を離した配置、すなわち小型ドイツ式赤道儀のような細くて長い極軸にするか、またはコストはかかってしまいますが、太くて短い極軸に大型のベアリングを間隔を狭めて配置するかの、どちらかの構造になります。SWATシリーズは非常に大きなベアリングを用いた後者の構造を採用しています。
SWAT-300/200のターンテーブルは、一般的な赤道儀の粗動回転と同じ構造でクランプを緩めるとスムーズに回せます。直径40mmの太い極軸に外形62mmの大きなベアリングを用い、極軸とターンテーブルをガッチリと支えています。SWAT-300の搭載可能重量は8kg、SWAT-200は5kgを達成しています。さらにウォームホイールの芯出し精度を向上させるためと、力学的に有利な三角形配置にするため、下側には高精度な小型ベアリングを用いています。この三角形配置は最近の高価な外国製赤道儀にも見られるようになりました。
SWAT-350のターンテーブルは外見からはわかりにくいですが、まったく独立した2個の大きなベアリングで支えています。この構造は30cm~80cmクラスの大型赤道儀と同様です。このため極軸やウォームホイールには搭載物の加重がかからず、搭載重量は15kgを達成しています。このように高い剛性を誇るSWAT-350は大きな鏡筒も搭載できる発展性の高いポータブル赤道儀です。搭載重量を活かすための頑丈な微動台座や脚、赤緯ユニットやパノラマ撮影テーブルなどを開発していく予定です。
搭載重量が増えるのに比例して、ウォームホイールに負担がかかる設計の他社製ポータブル赤道儀では、搭載重量が増すと追尾精度が悪くなったり、モーターのパワーが不足することがあります。SWATシリーズは、ウォームホイールにほとんど加重がかからない設計になっていますので、ある程度の荷重がかかっても追尾精度への影響を抑え込むことができました。この点がSWATシリーズの大きな魅力のひとつでもあります。
「ポータブル赤道儀は、そんなに頑丈な設計にする必要はない」とお考えになるユーザーも多いことと思います。しかし、ユニテックはポータブル赤道儀が簡易型でドイツ式赤道儀が本格型だとは考えていません。ポータブル赤道儀こそ写真撮影専用機として、精度と強度と利便性を徹底的に追求すべき機材と考えます。
なお、SWAT-300はSWAT-350と同じ筐体を採用しています。極軸回りのパーツを変更することでSWAT-350へのアップグレードが可能となります。より重量物を搭載したくなった場合などにお申し付けいただければ改造を承ります。詳しくは準備が整いましたら、ご案内させていただきます。
今後もSWAT製品をよろしくお願いします。
http://www.unitec.jp.net/
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