SWATシリーズのウォームホイール径とPモーションについて。
SWATシリーズのウォームホイールには、一般的な小型赤道儀よりもかなり大きなサイズのホイールを採用しています。ウォームホイールの直径と歯数はピリオディックモーションに直結する大切な要素となります。同じ加工精度なら、直径が大きく、かつ歯数が多いほど、Pモーションは向上していきます。サイズと歯数から、Pモーションを計算でも求められるほどです。
図の左は、一般的な小型赤道儀のウォームホイールで直径73mm、歯数144枚。真ん中がSWAT-200の直径85mm、歯数168枚です。右はSWAT-300/350用ですが、モジュール0.5、直径106mm、歯数210枚の大きなウォームホイールを使っています。
赤道儀の追尾精度は、機械加工の精度が同じであればウォームホイールの直径と歯数に比例して精度が良くなることは書きましたが、SWAT-300/350は歯数210枚のウォームホイールなので一般的な小型赤道儀の144枚に対して(あくまでも加工精度が同じ場合ですが)46%精度が向上し、弊社のSWAT-200に対して25%精度が向上する計算になります。
ウォームホイールが大きくなると、ウォームネジや伝達ギヤなどにかかるプレッシャーは反比例して軽減されるので、実際にはSWAT-300/350の追尾精度は、SWAT-200に対して30%以上も向上しています。SWAT-200はおよそ±10秒角程度のピリオディックモーション(ギヤの精度不良による周期的な追尾エラー)に対して±7秒角という大型赤道儀以上の極めて優秀な精度を実現しました。
ピリオディックモーションについては、ユーザーには測定が難しかった時代には「あり得ないような良いデータ」が発表されていたものです。現在でも「言った者勝ち」のように良いデータが喧伝される場合があるようですが、大手メーカーはピリオディックモーションのデータを公開しないようになっていますね。しかし、写真撮影用のポータブル赤道儀はデータを発表しないわけにもいきません。SWAT-200のピリオディックモーションは±10秒角前後、SWAT-300/350のピリオディックモーションは、一般的に300mm望遠レンズの許容範囲と言われる±7秒角前後を達成しています。また、個々の機種での偏りが少なくなるように入念なエイジング調整を施してから出荷しております。
※ウォームネジとウォームホイールのバックラッシュについてですが、ある程度のバックラッシュを設けた方が追尾精度が向上します。SWATシリーズは追尾精度最優先ですので、わずかですがバックラッシュを付ける方向で調整を行なっております。
■SWAT-350の生産について
SWAT-350の発売に際しては、製造上の予見できないリスクを避けるために初期ロット生産数を抑えたこともあって、発売日前にご予約で完売となってしまいました。発売を楽しみにされていたお客様には、大変なご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。現在、次ロットの生産に取りかかっており、完成は2月中旬を予定しておりますが、数量は少なめですので、早めに入手されたいお客様は、販売店様にご予約いただけると幸いです。なお、商品を潤沢に供給できるのは4月以降の予定です。今後ともSWATシリーズポータブル赤道儀をよろしくお願いいたします。
http://www.unitec.jp.net/
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