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2014年1月 6日 (月)

オルゴール赤道儀SWAT-miniの追尾精度。

Photo_2 SWAT-miniのウォームホイールとピリオディックモーション(Pモーション)をご紹介します。まずは上の写真の右側をご覧ください。原型のウォームホイールはSWAT-miniのシャーシの下に置いた直径約160mmで歯数288枚のとても大きな物です。Pモーションはウォームホイールの直径が大きいほど小さく高精度になりますが、このサイズはなんと100万円以上する大きな赤道儀と同じくらいの直径ですから、基本的な精度は非常に高いのです。この原型から歯6枚分だけ長方形に切り出して装着しています。次にSWAT-miniで実際に撮影したPモーションの写真をご覧ください。

P この写真は、600mmの大きな望遠レンズをPモーション測定のために無理やり搭載して撮影しています。オルゴールのゼンマイはかなりパワーがあるので重い600mmでも動きます。極軸を西側にずらして星を赤緯方向に流し、グラフ状の軌跡になるように写しました。ゼンマイ巻き上げ後1分間待ってから露出を開始し6分経過してオルゴールが停止しても露出を続けました。直線に写っているのは停止後に固定撮影になった部分です。288枚のウォームホイール1周期5分のPモーションはほとんど認められず、最初のうちはオルゴールの速度がやや速く、オルゴールが停止する直前にやや遅くなったことが弓なりの軌跡からわかります。軌跡には1.5分4周期の小さなモーションが見えています。これはピニオンギヤのオルゴール側連結部のわずかな偏芯が原因です。この偏芯は個体差がありテスト機は大きい方ですが、この1.5分周期のPモーションはわずか±11″程度なので200mm望遠レンズの許容範囲くらいです。SWAT-miniは広角レンズから50mm程度の標準レンズまでの追尾を推奨していますが、正確な極軸設定ができて、丈夫な三脚や雲台などを使用してブレやたわみに注意して使えば、もっと長焦点にも対応できる精度を有しています。

 SWAT-miniの欠点は「オルゴールの速度を完全には調整できない」ことです。とはいっても、露出中に許容範囲内の速度誤差に収まればよいので、例えば50mmレンズの固定撮影では8~10秒露出くらいまでは星は点像に写るので、露出時間中の速度誤差が±8~10秒以内なら問題ありません。また、ゼンマイを巻き上げるとギヤの噛み合いも元の位置に復帰するため、毎回同じコンディションで追尾します。これは大きな利点で安価な赤道儀のような不安定さがなく、バラツキの少ない安定した撮影が期待できます。

 このようにSWAT-miniは実用性の高いポータブル赤道儀です。星野撮影初心者の入門用赤道儀としてはもちろん、上級者のサブ機としても充分にお応えできる性能を持っています。ユニテックで発売しているSWAT-miniは、株式会社輝星が製作しているMusicBoxEQⅡをベースにリメイクしました。大きな改良ポイントは、粗動回転機構付きのターンテーブルを標準装備としたことで機能アップを果たし、さらに高級なメタリック塗装を施して見た目にもこだわりました。なお、別売オプションとして、2WAY傾斜ウェッジやシンプルフォークをご用意しています。併用することで、より便利にSWAT-miniをお使いいだけます。

http://www.unitec.jp.net/

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