ボーグとSWATで月面撮影。
ようやく梅雨明けしましたが、台風が連続でやってきたりで、まだ天候が安定しませんね。月も月末の満月に向かって、次第に大きくなるので、星野撮影もしばらくお預けといった感じです。日本の夏の傾向として、太平洋高気圧が大きく張り出し、毎日安定した夏空が続くような時は、比較的シーングが良い日が多いといわれています。移動性高気圧でも西側、つまり天気が崩れる前はシーイングが良いことがあるのですが、日本が太平洋高気圧に覆われるときは、やはり高気圧の西側ですから、気流が安定するのかもしれません。そんなシーイングが良い夜には、SWATを持ち出して、気軽に月面や惑星撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
下の作例はボーグ71FLと2Xテレプラスを組み合わせて、21日に撮影した月面です。よく晴れ渡った空でしたが、台風の影響が残っているのか、とても風が強く、シーイングは最悪レベル。それでもテストをかねて撮影してみました。
■撮影データ 2015年7月21日19時51分40秒~ ボーグ 71FL+フラットナー+ケンコー2×テレプラス+エクステンションチューブ (合成焦点距離/1,260mm F17.7) キヤノン EOS 6D ISO1600 1/250秒×80枚 1/125秒×20枚 RegiStax6でスタック Photoshopで画像処理 SWAT-350にて自動追尾 撮影地 東京都目黒区
フイルム時代なら完全に撮影をあきらめる真冬並の悪シーイングでしたが、撮影枚数を稼いで、その中から程度の良い画像を自動でコンポジット処理してくれるRegiStax6というフリーウェアのおかげで、まずまず見られる画像を得ることが出来ました。何十枚という画像を抽出して加算処理した結果ですが、そもそもどの程度の画像を重ねているのでしょう。そのうちの一枚を掲載します。
こんな感じです。オリジナル画像をリサイズしてトーンカーブで明るさを調整しただけですが、とんでもなくひどい画像です。(笑) この程度でも、100枚近く合成すれば、上の画像くらいにはなります。デジタルカメラとソフトウェアのおかげですね。撮った本人もびっくりしています。
部分拡大してみました。左が一枚撮り、右がスタック後(画像処理含む)。これだけシーングが悪いといくら重ねても仕上がりはイマイチですが、それでもこれくらいは改善します。もう少しシーイングが良いとどうなるかというと、昨日(25日)撮影した画像をご覧ください。
■撮影データ 2015年7月25日19時55分11秒~ ボーグ 71FL+フラットナー+ケンコー2×テレプラス+エクステンションチューブ (合成焦点距離/1,260mm F17.7) キヤノン EOS 6D ISO1600 1/250秒×80枚 1/125秒×80枚 RegiStax6でスタック Photoshopで画像処理 SWAT-350にて自動追尾 撮影地 東京都目黒区
この日のシーイングは21日よりは、遙かに良好でした。それでも3/5程度で、常に全面がゆらゆら細かく揺れている感じです。
こちらは部分拡大。左が一枚撮り、右がスタック後(画像処理含む)です。21日より元画像がまともなことがわかります。多少シーイングが悪くても、RegiStaxを使えば、美しい月面画像が簡単に得られます。すごい時代になりましたね。
これは、90FLで撮影して、上と同じ部分をトリミングした画像です。さすがに71FLより解像感がアップしてます。月や惑星の撮影では、シーイングが一番といっていいほど重要だったんですが、RegiStaxで処理することで、そこそこのシーイングでもかなり高度な撮影ができるようになってきたことを実感しました。正直言って最高のシーングは年に数日しかありません。そんな日に都合よく月や惑星が撮影できるわけでもないので、そこそこ好シーイングに恵まれる夏に月面や惑星撮影をお楽しみいただければと思います。最後にちょっと恥ずかしい写真ですが…
月刊天文1984年10月号。もう30年も昔ですが、ボーグの中川さんと私が同じページに掲載された貴重?な誌面です。いや~、懐かしいです。(笑)
今回撮影に使用したボーグ71FLは、ボーグさんのご厚意でお借りしているものですが、来月末までお貸し出しいただけることになりました。胎内星まつりで、SWATと組み合わせて展示予定ですので、ぜひご来場いただいて、そのベストマッチぶりをお確かめください。
このところ、熱波に見舞われて体調管理も大変と思います。みなさまどうぞご自愛ください。そして、真夏の星空をお楽しみください!
http://www.unitec.jp.net/
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