赤い散光星雲の画像処理。
先日のブログで、アンドロメダ銀河の画像処理について書きましたが、初心者の方は「そんなこともできるのか」と思われたでしょう。ベテランの方の美しい天体写真も実際には画像処理ソフトで相当に調整していて、正直言って撮っただけではイマイチなんです。さて、赤い散光星雲はHα線という赤い波長が多く含まれていますが、一般撮影向けのカメラではカラーバランスの関係で、この波長域を内蔵フィルターでカットしています。なので天体用にはカメラの改造が必要で、この内蔵フィルターを赤い波長を透過するフィルターに換装します。これをしないと、写っても悲しいくらいに淡くしか写りません。内蔵フィルターの特性はメーカーによって異なりますので、無改造でもそこそこ写せる機種もあるようです。今回は改造カメラで撮影した赤い散光星雲をより綺麗に見せる簡単な方法をご紹介します。
これは、ボーグ71FL+レデューサーをSWAT-350で1分間ノータッチがイドしたノートリ元画像です。カメラはキヤノンEOS 6DのIRフィルター改造機です。ご覧の通り、何となく北アメリカ星雲が写っている程度です。これを画像処理していきます。
まず、前回のアンドロメダ星雲と同様に、固定パターンノイズと周辺減光を補正してコンポジットし、そして適当な構図(北を上)にトリミングします。
レベル補正や彩度調整で、それなりに見栄えがしてきました。これでも充分なんですが、もっと強力に赤を強調してみましょう。
ここでは、Photoshopの色調補正メニューにある「特定色域の選択」を使います。色域に、レッド系、イエロー系、ブルー系、グリーン系など、補正したい色域が選択できます。赤い星雲の場合、レッド系、マゼンタ系が効果があります。下のスライドバーは、シアン(水色)、マゼンタ(ピンク)、イエロー、ブラックの4種類ありますので、プレビューを見ながらバーをスライドさせて調整してみてください。仕上がった画像は下のようになります。
参考のために、ちょっと強めに処理してますが、元画像と比べると雲泥の差ですね。ブラック系を選択すれば背景の黒の色調や締まり具合も調整できますから、自分なりに見栄えのする作品に仕上げてみてください。ちなみに、彩度やコントラスト調整だけでもそれなりに強調することができます。下をご覧ください。上手に組み合わせてみましょう。
「特定色域の選択」が使えないソフトでは、彩度とコントラスト(レベル補正)だけでも、そんなに遜色なく仕上げられますが、背景にマゼンタのカブリが生じてきてます。もう少し控えめが綺麗でしょう。
作例画像は、ボーグ71FL+レデューサーF4で、わずか1分露出(ISO1600)を8枚コンポジットした画像です。短時間露出でも画像処理でうまく引き出せば、元画像とは比較にならないくらいの作品に仕上げられます。画像処理ソフトの機能をフルに使って自分なりに作り上げてください。これもデジタル時代の醍醐味ですね。
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