勝負は画像処理!
月面が続いたので、今回は星雲についてです。先日、初心者のSWATユーザー様から、「作例のような画像にならないのですが…」という質問がきました。撮影した画像を見ても、どうもイマイチだなぁと思って、天文趣味をやめてしまっては、なんとももったいないです。そんなときは、画像処理によって、見違えることもあるので、下記を参考にしてみてください。
これは先日のブログでご紹介したM31アンドロメダ銀河です。もともとの画像はどんなかというと…
こんな感じで、とてもショボイですね。これはボーグ90FLにレデューサーをつけてF4なんですが、それにキヤノンEOS 6D(IR改造) ISO1600で90秒露出したノートリの元画像です。これくらいなら簡単に撮れます。これを画像処理していきます。
まずは、ノイズ(固定パターンノイズ)と周辺減光を補正します。それぞれダーク、フラット補正といいますが、私は面倒なんでやってないです。上の画像は、目立つノイズをスタンプツールでチョイチョイと消して、周辺減光はソフトで適当にごまかしてます。ま、原理は一緒なんで…(笑) そしてざらついたランダムノイズを改善するために複数枚をコンポジットします。
北を上にして適当な構図でトリミングしました。北を上にするのは、星図と見比べたりするとき便利だからです。地上を入れたり、他になにか特別な目的があるとき以外は、基本的に北を上にしたほうが良いでしょう。
トーンカーブ(レベル補正、コントラスト)調整で、画像の基本的な明るさやコントラストを補正します。だんだんそれっぽくなってきました。
そしてカラーバランスを整えます。彩度やバックの黒の色調やしまり具合、星雲の色などに注意しながら弄ってみてください。
アンシャープマスクで整えます。仕上げの微調整をして完成です。さらに強力に処理してみると…
ちょっと極端ですが、わざと星雲部分を明るくしてみました。さすがにここまでやるとやり過ぎですね。でも、元画像から、ここまで引き出せるということに注目してください。(星雲部分を選択的に処理しています)
元画像の露出はもっとオーバーでも大丈夫です。いつも作例写真を投稿していただいているHUQさんの場合は下のような感じです。
これが元画像です。かなり露出オーバーですね。でも、これをレベル補正すると…
M33が浮かび上がってきました。データがちゃんと淡い部分を保持していることがわかります。
画像処理完了! お見事です。HUQさん、ご協力ありがとうございました。
ご覧の通り、撮影後の画像処理で、仕上がりがまったく違ってきます。見栄えのする天体写真に仕上げていくのも、楽しみのひとつですので、ぜひチャレンジしてみてください。私は使い慣れたPhotoshopを使っていますが、先日の胎内星まつりで、天文用として評価の高いステライメージ7を入手しました。今後、試していきたいと思います。それから、ダークやフラットもちゃんとやらないと…(笑)
参考書としては、誠文堂新光社から出版されている西條善弘さん著「天体写真のレタッチテクニック」がお勧めです。
ずいぶん長い間、天体写真撮影から離れていて、デジタル時代になって復帰しましたが、いろいろ処理して痛切に感じるのは、画像処理の重要性です。上質な元画像を得ることは、もちろん重要であることに変わりないですが、撮影自体より画像処理の差で、天体写真の優劣が決まるような気がします。
http://www.unitec.jp.net/
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