光害カブリ補正とノイズ低減。
美しい冬の天の川です。ソフトフィルターを使って輝星をボカし、優しい星の輝きに包まれたような雰囲気のある画像に仕上がっています。これはSWAT-350ユーザーさんがご自宅で撮影したものですが、元画像は光害カブリがあったため画像処理で修正してあります。その修正方法をブログで紹介して欲しいとのご要望があったため、簡単な方法をご紹介します。まず元画像ですが、下のような感じです。なお、レタッチにはPhotoshopを使っています。
冬の大三角形の中心付近が暗く、周辺にいくほど赤っぽい光害カブリがあります。特に右下方向が酷いです。これだけカブっていると何段階かに分けて処理した方がやりやすいです。
まず、光害があるエリアを選択します。別レイヤーにコピーしますがこのとき「境界をぼかす」で適宜数値を調整して、下の画像程度になるようにしてください。
コピーした光害エリア。背景は透明です。
「レベル調整」または「トーンカーブ」で光害のない部分となじむように明るさを調整します。赤い色味は「彩度」を下げて目立たなくします。画像ではレイヤー単独でレベル調整してますが、実際には背景も一緒に表示しておくとわかりやすいです。
一回では修正し切れなった部分を同じように処理していきます。
画像の左上に表示されているように4レイヤーに分けて段階的に調整しています。すべてのレイヤーを表示して、各レイヤーのトーンカーブや透明度を変えて全体が馴染むようにバランス調整して画像を統合します。最後にトーンカーブ(コントラストなど)や部分的な焼き込み、覆い焼き、彩度などで微調整して仕上げます。
続いてM81銀河です。まず元画像をご覧ください。
高感度で撮影した複数の画像をコンポジットして、銀河の腕の淡い部分を炙り出しています。なかなかの出来ですが、高感度ゆえに背景にカラフルなノイズやザラツキが出てしまうことがあります。これも画像処理ソフトで目立たなく出来ますので、試してみましょう。
メニューの「フィルター」→「ノイズ」→「ノイズを低減」で、各スライドバーを調整します。ついでに背景のザラツキも少し調整しました。
若干ですがノイズが目立たなくなりました。まだ背景のムラが気になりますね。これくらいのノイズになるとなかなか手強いです。
トーンカーブの暗部側を上のように少し持ち上げてやると、背景のノイズが目立たなくなります。ただ星雲の淡い部分も少し消えてしまうので、あまりやりすぎないようにします。
最後に全体の色調、トーン、シャープネスなどを整えて仕上げます。画像処理ソフトでひと手間かければ、これくらいまでは簡単に改善できます。元画像と比べてみてください。
今回のレタッチは、すべてPhotoshopで行っています。レタッチソフトによっては、ご紹介した機能がなかったりすることがあるかもしれませんので、ご了承ください。画像処理の参考書としてお勧めなのが、以前にも紹介した西條善弘さんの「天体写真のレタッチテクニック」(誠文堂新光社)です。画像処理に興味がある初心者の方は、ぜひご一読をお勧めします。
« 月齢8.3、極上シーイング。 | トップページ | 月齢13.5。 »
「ワンポイントアドバス」カテゴリの記事
- 【修正版】大気差グラフ(2024.07.16)
- SWAT-350V-spec Premiumレビュー動画のご紹介。(2021.11.17)
- Premium仕様に搭載される新たな駆動モード。(2021.04.25)
- 撮影画像からPモーションを計測してみよう。(2021.01.17)
「画像処理」カテゴリの記事
- PixInsightで画像処理を始めよう「第11回」を更新しました。(2018.08.21)
- PixInsightで画像処理を始めよう「第10回」を更新しました。(2018.08.11)
- PixInsightで画像処理を始めよう「第9回」を更新しました。(2018.07.25)
- PixInsightで画像処理を始めよう「第8回」を更新しました。(2018.07.13)
- PixInsightで画像処理を始めよう「第7回」を更新しました。(2018.07.04)