

SWATユーザー様のフォトギャラリーにいつもハイレベルな作品をご投稿いただいたり、天体画像処理入門でPixInsightの使い方を連載中の蒼月様が、これまで愛用していたSWAT-200に追加して、SWAT-310を導入されました。今回、そのSWAT-310の使い勝手などをレポートしていただきましたので、ご紹介します。
【SWAT-310ユーザーレポート、その2】
これまで5年以上にわたって、SWAT-200を使ってきましたが、先日新たに購入したSWAT-310を初めて使いましたので、その時の雑感等を報告いたします。
◆外観等について
SWAT-200と比べて、ひと回り以上大きくなっているだけあって、やはり重くもなっていますね。長い間 SWAT-200を愛用している私には、「ずっしり重い」という印象です。ゆえにこれを「延べ棒」と呼ぶことにします。(笑)
極軸微動ユニットと合わせた重量を考えると、個人的には一軸のみの「ポタ赤」として許されるギリギリの線ではないかと思います。こうなると三脚は従来のカメラ三脚ではもはや危険なので、VIXENの APP-TL130に変えました。
組み上がった機材一式は、上の写真(前方からと後方から)の通りで、SWATから上は従来と変わらない構成なのですが、SWATから下は従来のシステムから合計3kg近く重くなりました。おかげで確かに安定感は増しましたが、近所の公園まで5分も歩いて持ち運ぶにはやや大きく重いですね。
私のようなライフスタイルで軽さとフットワークを重視し、それに加えてある程度の追尾精度も欲しいという方には、生産終了になったSWAT-200の方が適していると思います。
◆使用雑感
一方、基本的な操作感は SWAT-200とほとんと変わりませんので、新しいものを導入したという緊張感は特になく、ほぼ従来通りの感覚で使えました。
使ってみると、やはり初期の SWAT-200からは改良されている点がいくつもあることに気づきます。まず、極軸望遠鏡用のネジ穴が上部左右2か所についているのは、地味に嬉しいことです。SWAT-200にはこれが真ん中に1つしかなく、機材が邪魔になってしまうことが多々あったのですが、そういうストレスから開放されました。それと、L字型クランプは思った以上に使いやすくて、機材と干渉するかと思いきや、そんなこともなく、極軸合わせの際に暗い中でクランプの位置を見失うこともないので便利だと感じました。
速度設定ダイヤルが大きくて操作しやすいツマミであるということも評価ポイントの一つです。SWAT-200ではこれが小さくて黒いツマミだったので、夜間に厚手の手袋をしていると回しづらい等、操作しづらいうえに見づらかったのですが、これなら設定を間違えることはなさそうです。
極軸合わせの際にクランプを開け締めすることで懸念されるガタツキについては、検証はできていないものの、少なくとも135mm程度の光学系を搭載するうえで、まったく問題になることはありません。普段よく使用する300mm程度でも、問題になることはないだろうという印象です。
◆その他
今回搭載したのは135mmの明るいカメラレンズであったこともあって、SWAT-310の目玉機能(?)である恒星時目盛環を使う機会はありませんでしたが、今後は使うことになるかもしれません。自動導入機能の無いポタ赤にとって、対象天体をいかに素早く写野に入れるかというのは、非常に大きな課題ですから、少しでもアシストしてくれるのであればと期待しています。
追尾精度の高さと故障しにくい堅牢さについては、SWAT-200の頃から信用していますが、SWAT-310でもそこを疑う必要はなさそうですね。
それから、SWAT-310に関することではありませんが、極軸微動ユニットのネジのピッチがもう一段細かくなると更に嬉しいと思っています。最近は PoleMaster等のおかげで非常に正確な極軸合わせが可能となってきており、今のネジピッチだとやや粗いと感じることがあります。
■係より
このたびは、SWAT-310を買い増ししていただきまして、ありがとうございました。高画質を得るために、じっくり総露光時間を確保すると、撮影中、けっこう手持ち無沙汰になることもありますが、2台体制だと別に短焦点でお気軽撮影ができたりして、遠征がより充実したものになりますね。さて、SWAT-310はアルミ無垢材からの削り出しボディで剛性を確保してるため、アルミダイキャストのSWAT-200と比べると、正直かなり重たくなっています。天体撮影の場合、ある意味「重さも性能のうち」といえないこともないので、安定感が増した分、微風でしたら、ほとんど影響を受けずに撮影できると思います。極軸微動ユニットのネジピッチについては、検討課題とさせていただきます。
http://www.unitec.jp.net/