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2018年11月18日 (日)

蒼月様のシグマ 70mm F2.8 MACRO ART レビュー。

フォトギャラリーや画像処理入門でお世話になっている蒼月様より、シグマの新マクロレンズ「70mm F2.8 MACRO ART」のレビューをお送りいただきましたので、ご紹介します。
 70mmart

この秋に新規導入したSIGMA 70mm Art ですが、期待通りの性能と言って良いかと思います。以下、簡単にレビューを記載しますので、ご参考にしていただければ幸いです。絞りを F2.8(20秒)、F3.5(30秒)、F4.0(40秒)、F5.6(80秒)と段階的に変えて撮影し、周辺減光や四隅の星像等を検証しました。
 Fig2_vignetting

●周辺減光
各F値での周辺減光の様子です。やはり開放(F2.8)だと周辺減光がかなり大きいですが、それでも、同じ露出時間で得られる周辺部の絶対的な光量を比較すると、例えばF4.0よりは開放の方が多いでしょう。

Fig3_corners_3

●四隅の星像
周辺減光の写真の中央と四隅を 2:1 に拡大して並べたものです。色収差をわかりやすくするために、彩度をかなり上げています。写っているのは微光星ばかりですが、四隅ではさすがに星像がやや乱れます。倍率色収差もわずかにあります。しかし、いずれも等倍以上に拡大しなければほとんどわからないレベルです。その星像の乱れは、開放からF4.0まで目立った改善は見られません。一方、F5.6まで絞ると少し改善します。F8まで絞ればさらに改善するかもしれません。おそらく、光学性能は、F5.6からF8あたりでピークになるように設計されているものと思われます。

Fig4_brightstar_2

●隅の輝星
プロキオンを左下隅に配置して撮影した等倍(1:1)画像です。開放だと光条が大きく二つに割れますが、絞るほどに改善し、F5.6まで絞ると中心の星像はほぼ真円になります。ただし、はっきりとした光条が現れるので、それを嫌う人はいるかもしれません。
 
●総評
SIGMAのレンズにしては比較的小さくて軽いですし、焦点距離も短いのでポタ赤に載せるには最適です。極軸をきっちり合わせたSWATなら、オートガイドも不要でしょう。開放でも十分使えるレンズですし、絞ってもF4.0までは四隅の星像がほとんど変わらない(輝星を除く)ので、F2.8を常用し、星などの高輝度部分をF5.6で補完するのが良いかもしれません。
このレンズによる作例がフォトギャラリーにも掲載されてますので、ぜひご覧ください。こちらからどうぞ。

※係より シグマ 70mm F2.8 DG MACRO Art は、ピント合わせにバイワイヤ方式(ピントリングがスイッチで電気的にモーター駆動する方法)を採用しているため、一般のレンズと比べて多少癖があり、慣れが必要です。ジャスピンを色収差で追い込むようなときに、ストレスを感じる場合がございますのでご注意ください。なお、蒼月様のように、AFに設定したうえでPCからBackyardEOSなどのソフト経由でレンズのモーターを使ってピント合わせをするよういな場合は、まったく問題ありません。
 
https://www.unitec.jp.net/

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