« SWAT-350V-spec Premium 312mm 5分ノータッチ撮影。 | トップページ | SWAT-350V-spec Premium、5月1日新発売。 »

2021年4月25日 (日)

Premium仕様に搭載される新たな駆動モード。

Photo_20210425172901
天体の日周運動は大気差によって常に変化していて一定ではありません。上のグラフは北緯40°の場所での天体の見かけの速度を表したもので、40年以上前に海外で発表されたデータを元に当時の天文ガイド誌が記事にしたもののトレースです。その肝心の元記事が見つからず、正確な見方がよくわかりませんが、だいたいは想像がつきますので、ちょっと解説してみます。縦軸は極軸一回転の所要時間でひとキザミが60秒です。ちなみに恒星時は86164秒です。横軸は天体が東から昇って地平高度15°に達した時点から西の空15°に傾くまでの所要時間で、ひとキザミは2時間です。曲線はそれぞれの赤緯値にある天体の見かけの速度の変化です。(元記事を読んでないので、解釈を間違っている可能性があります。正確な見方をご存じの方はぜひ教えていただければと思います。)
さて、この曲線は星の見かけの速度の変化を表していますが、一定の速度(横一直線になる)で日周運動する天体なんて、どこにもないことが分かります。しいていえば、赤緯0°~+40°くらいの天体の南中前後1時間くらいがほぼ一定といえるかもしれません。それどころか常に変動しているのです。ですから、恒星時にしろキングスレートにしろ、固定されたひとつの駆動速度だけでは、天空のどの星も正確に追尾するのは無理なことがご理解いだけると思います。SWATはこれまで、キングスレートと呼ばれる恒星時より極軸一回転で26秒遅い値を採用しています。このキングスレートはこのグラフでもわかるように、北緯40°の場所で赤緯0°の天体が南中したときの速度に合わせています。地平高度がそこそこ高くなった天体の平均的な速度ですから、とても汎用性が高く、通常のご使用にピッタリな速度になっています。近日発売のPremium仕様には、このキングスレート(極軸一回転86190秒)に加えて、理論的な恒星時(86164秒)と低空モード(86230秒)が追加されます。それぞれの速度に適したエリアは上のグラフの通りですが、恒星時は天頂付近の天体の速度にマッチします。具体的には、おおぐま座、はくちょう座、ぎょしゃ座、カシオペヤ座、アンドロメダ銀河などの子午線通過前後3時間程度に適合します。低空モードはアンタレスやさそりの尻尾付近、いて座などの天の川の低い領域やちょうこくしつ座、M83などの南中高度の低い対象に向いています。他にも東西で地平高度が低い対象にもマッチします。地平高度10°以下の昇りはじめや沈む直前は太陽時の方がさらに適しています。グラフを参考にして、それぞれのモードを使いこないしていただければ、より長焦点、長時間でのノータッチ撮影の成功率を高めることが可能です。SWATは長焦点長時間撮影でより完璧な追尾を目指すためのオートガイド(ST-4準拠)にも対応しています。
 
https://www.unitec.jp.net/

« SWAT-350V-spec Premium 312mm 5分ノータッチ撮影。 | トップページ | SWAT-350V-spec Premium、5月1日新発売。 »

その他」カテゴリの記事

ワンポイントアドバス」カテゴリの記事

コラム」カテゴリの記事