SWAT-330モニターレポート。
SWAT-330ユーザーのSH様よりモニターレポートを送りいただきましたのでご紹介します。ご購入の際の参考にしていただければと思います。
●さそり座 カラフルタウン
2021年3月14日 SWAT-330ノータッチガイド BORG71FL+レデューサー Canon EOS 6D-HKIR ISO4000、120秒×60コマ 下は撮影中に流星が飛び込んだ記念のひとコマです。
■SWAT-330モニターレポート
SWAT-330、想像以上に高性能で使いやすくとても満足しています。モニターレポートと言って良いかどうかのレベルかと思いますが、それらしいものを纏めましたので送らせていたきます。写真は初心者レベルのものですが、初めて追尾撮影に挑戦してみたい方々には参考になるかもしれません。
●第一印象
初めて現物を目にして、インターネットなどで眺めた画像から想像していたよりも、一回り大きく&そして重いことに驚きました。無垢削り出しならではの剛性感と高品質感に性能への期待も高まります。全体の質感が高い中で唯一気になるのがプラスチッキーな極軸クランプです。あと本体にテーパーアダプターを取り付ける際、金属同士が触れ合うので美しいSWATに傷がつかないかなと心配になり養生用のテープを貼り付けて使っています。飾りにもなりそうなほど、工業製品としての美しさを兼ね備えているのでそう思ってしまいます。(笑)
●操作系について
シンプルで誤操作の起きにくいものだと思います。欲を言えばスペシャルモード起動の方法が小さく記載されていれば久しぶりに使う時に思い出せるので良いのでは。(説明書を忘れて一瞬不安になったので。)
●電源に関して
乾電池ボックスが付属されていますが、現代主流の電源はモバイルバッテリーだと思うので、以前紹介されていた5V-USB→12V-昇圧電源コードが標準付属またはオプションだったら良いかも。また、本体背面にモバイルバッテリー用ホルダーなどのオプションが欲しいです。
例 https://www.amazon.co.jp/dp/B08J2NN73P/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_6SG80CPXV5YWCW3S077T
●私のシステム構成について
ビクセンの APP-TL130三脚にアダプターを介して直付。極軸ターンテーブルにスコープテック製ゼロ経緯台を装着。フリーストップのフォーク式赤道儀として実戦投入してみました。耐荷重15kgということで観望用に大きめな望遠鏡を載せることもできますが、撮影には小さめな望遠鏡の方が、ゆとりがある分だけ安心や信頼性につながります。三脚の脚の長さで極軸の調整はできますがやりづらく、やはり極軸微動ユニットは必須アイテムだと感じました。ぜひ追加購入したいです。
今回極軸ターンテーブルの1/4カメラネジに3/8インチカメラネジアダプターを介してゼロ経緯台を取り付けましたが、たった一本の細いネジで経緯台&鏡筒&カメラを支えていると思うと、とても不安です。色々なアダプターを介するほど高さ方向のモーメント荷重が増えてしまうので、出来ればターンテーブルが簡単に脱着できて取り付けネジが1/4インチと3/8インチを付け替えられるようになっていると嬉しいです。
●実際に使用して
今回は焦点距離265mmの直焦点ということでもちろん東側偏荷重スペシャルモードの使用です。剛性感があるので、構図の決定やピントの調整などもやりやすいです。追尾精度に関しては、添付のさそり座一枚もの写真にあるように星はほぼ点像でガイドエラーの確率も少なく、ノータッチ撮影に十分な精度を有していると思います。
●SWAT330の存在意義
初めて手にする高性能ポータブル赤道儀ということであれば、性能&満足度の観点から、無理してでもSWAT-350、出来ればV-specが欲しいと思います。今までいろいろなポータブル赤道儀を使ってきました。(ナノトラッカー、初代ポラリエ、初代ポラリエ+テレスコ工作工房EQ3、スカイメモT、スカイメモNS、Jilva-170)それぞれに、軽くて小さいけど耐久性&信頼性が無かったり、充分に頑丈だけれど形状が使いづらかったり&極軸微動雲台周りの強度が不足したり、ハイテクだけれど機械的工作精度の悪さを感じたり、古くて頑丈で重かったりなど... 一長一短がありました。その中でJilva170をドイツ式へ改造し、極軸にはポールマスター、SWATのリモートコントローラーを使って赤経オートガイドなど、考えられるいろいろな改良を行いましたが、三脚や各軸等のたわみや大気差、極軸設定のズレなどにより高精度追尾をする究極的手段は2軸オートガイドとの結論に至り、SS-Oneで2軸駆動改造して使っていました。ふと、気づいたこと…、それでは普通の赤道儀と何ら変わらないかも(笑)また、パソコンも必要でフィッティング調整にかなりの手間暇がかかります。
そこで〜 SWAT-330! オートガイドをするには当然、星が出ている必要があり、昨今の地球温暖化による曇りがちの天気では常にオートガイドができるというものでもありません。であるならば、2分程度の短時間露光&多枚数コンポジットを前提に必要十分な精度の赤道儀でノータッチ放置ガイド撮影をして、出来たゆとり時間にのんびりと星空を楽しみたい。或いは星景写真にも取り組めます。
そういった観点で捉えれば、強度と耐荷重が高く、必要にして十分なノーマルモードでの追尾精度といざという時には東側偏心荷重スペシャルモードを備えた SWAT-330は「価格と性能のバランスが取れたとても良い選択肢」であると感じています。
どっぷり浸かって本気の撮影も楽しいですが、「のんびりお気軽に美しい星空写真撮影&リアル星見」。多様化の時代、そんなスタンスで楽しめるポータブル赤道儀としてオススメです。
●おとめ座銀河団
2021年2月14日 SWAT-330ノータッチガイド BORG71FL+レデューサー Canon EOS 6D-HKIR ISO1600、120秒×16コマ
●オリオン座 中心部
2021年2月14日 SWAT-330ノータッチガイド BORG71FL+レデューサー Canon EOS 6D-HKIR ISO1600、120秒×16コマ
●参考写真について
撮影した写真の編集になかなか時間をかけられないので、フラットやダーク、サブスクリプションの Lightroom を使わない「簡単手抜き処理」をテーマに画像編集を行っています。具体的にはsequatorでコンポジットの後、スマホのアプリPhotoshop & Lightroom の無料で使用できる機能の範囲で編集しています。ちょっと昔の天体写真みたいで、インスタ映えするような派手さはないですが...(笑) 画像処理も「時間を掛けず、お金も掛けず、お気軽に!」がテーマです。
春の天の川とホワイトデー大火球
2021年3月14日 SONY α7c 固定撮影 名匠光学 11 mm f3.5位 ISO5000、20秒×30コマ
ボーグ71FL+SWAT-330でさそり座カラフルタウンをノータッチ撮影中に飛び込んできた流星は、広角固定撮影でも捉えていました。
■係より
このたびは、SWAT-330のモニターレポートお送りいただきまして、ありがとうございました。SWAT-330は性能的に充分ご満足いただけるレベルを確保して、価格をできる限り抑えたSWATのエントリークラスに位置するモデルです。必要に応じて上級機と同等性能へのアップグレード改造も可能にしています。今回のレポートでもスペシャルモード(東側偏荷重限定で±6.5″)を駆使してボーグ71FL+レデューサー(焦点距離265mm)の直焦点をノータッチ追尾で2分露出されていますが、ほとんどロスもなく上出来だったとのことです。レポートにもありますが、現行のSWATシリーズはすべてアルミ削り出し筐体に大型ベアリグを複数採用してるので、本体重量が2.5kg近くにもなってしまいます。気軽にカバンに入れてというわけにはいかないですが、重さも性能のうちということで、たいへん心苦しいですが辛抱していただければと思います。また撮影されましたら、作例コーナー用にぜひお送りください。お待ちしております。
https://www.unitec.jp.net/
« SWAT-350V-spec Premiumノータッチ追尾テスト。 | トップページ | SWAT-350V-specPremiumモニターレポート。 »
「その他」カテゴリの記事
- 【新刊】成澤広幸氏の「星空撮影塾」完全保存版(2024.10.10)
- SWATで自動導入やディザリング撮影が可能に(2024.08.19)
- 【修正版】大気差グラフ(2024.07.16)
- SWATユーザー丹羽雅彦さんの個展のご紹介。(2023.07.31)
- SWATで自動導入!? これは画期的アイデア!(2023.06.30)
「レポート」カテゴリの記事
- SWAT-330レビュー動画のご紹介。(2022.05.15)
- SWAT-350V-spec Premiumレビュー動画のご紹介。(2021.11.17)
- SWAT-350V-specPremiumモニターレポート。(2021.08.17)
- SWAT-330モニターレポート。(2021.05.25)
- SWAT-350V-spec Premium 312mm 5分ノータッチ撮影。(2021.04.16)