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2024年10月

2024年10月23日 (水)

21日撮影の紫金山アトラス彗星(C/2023 A3)

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●紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
2024年10月21日18時26分~ シグマ 105mm F1.4 Art 絞りF2.5 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO400 60秒露出×29枚コンポジット(彗星核基準) SWAT-350V-specによるノータッチ追尾 ステライメージ9、DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 長野県諏訪郡富士見町
 
前日の20日は雲に邪魔され、満足な撮影ができませんでした。翌21日も同じ場所でとも思いましたが、GPV予報で西方向の雲の状況を検討した結果、少し南下して八ヶ岳山麓の富士見町に変更しました。天候は前日より明らかに良好で、到着したときからずっと快晴。19時に雲がかかるまで何の問題もなく撮影できました。上の画像は薄明終了あたりから曇るまでの29分間の露出を彗星核基準で合成したものです。アンチテイルがはっきりと描出できました。充分に暗くなってからの撮影なので、恒星の数がこれまでの薄明中の撮影より圧倒的に多くなりました。彗星核基準でコンポジットしたため恒星が流れていますが、核の左に見えるふたつのもやっとしたものは球状星団です。左がM10で右がM12です。紫金山・アトラス彗星は、これからどんどん小さく、そして暗くなりますが、彗星の面白いのは小さくなった分、焦点距離を長くして撮ると意外と似たような迫力で撮れることがあります。そうなるとSWATの追尾精度がさらに活かせます。もうしばらくは楽しめます! 晴れたらぜひ狙ってみてください。今回は一泊して彗星三昧の撮影旅でした。仕事から離れてとても気分転換になりました。たまにはこういう撮影もいいものですね。

※SWATは超高精度で恒星時追尾しますが、地球に近い彗星は恒星時では正確に追尾できません。恒星と彗星の両方流れないように露出時間のバランスを取ることが大切です。21日の紫金山・アトラス彗星の見掛けの速度は恒星時より遅いので、追尾モードを太陽にして恒星とのバランスを調整するとより露出時間を延ばせる可能性があります。(その時の見掛けの速度は星図ソフトなどで調べてください)彗星は基本的に地球に近いと見掛けの動きが大きく、遠く離れると恒星に近くなります。また赤緯方向にも動くので何枚か試写してチェックするようにしてください。ちなみに21日は恒星時と彗星の見掛け速度のほぼ真ん中くらいが太陽時でした。
 
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ところで初心者の方から日没から暗くなってくる段階の彗星導入が難しいという話をよく耳します。肉眼彗星なら簡単ですけど、暗い彗星や天体は簡単には見つけられないものです。そんなときに頼りになるのが目盛環。実は今回の撮影でも最初は目盛環を使ってそこそこ明るいうちに導入を終わらせています。
上の星図は21日18時、諏訪の西の空です。左下に金星、真ん中上に紫金山アトラス彗星がいます。望遠レンズを使って撮影する場合は極軸の設置精度も大切です。まず、北極星が見えてきたタイミングで極軸合わせをして金星を導入します。そこから彗星との差分を目盛環を見ながら回せば導入できます。上の図でいえば、黒い経線が赤経赤緯の座標ですから、ざっくりと赤経は東に30分、赤緯は北に25°動かすだけです。これで試写すれば写野のどこかに入っているはずで、あとは微調整するだけ。広角や標準レンズ程度の画角があれば、極軸をだいたい北に向けただけでも写野のどこかに入っていることが多いです。今回はたまたま金星が近くにあったので、それを使って導入しましたが、もちろん他の星でもかまわないです。SWATは目盛環を装備していますから、ぜひ使ってみてください。探すのに時間を無駄にするのはもったいないです。
※500mmクラス以上の長焦点の場合は基準星との差分をもっと正確に出さないとズレが大きくなります。
 
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今回はポルシェ乗りの星仲間(SWATユーザー)とご一緒しました。
 
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私の撮影システム。SWAT-350にシンプルフォークDX2で赤緯体を構築、カウンターウェイトで東側荷重を維持して安定追尾を狙います。レンズはお気に入りのシグマ 105mm F1.4 Art、これは神レンズです。
 
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日没後のシルエット。撮影開始までしばしの休憩時間。
 
https://www.unitec.jp.net/

2024年10月22日 (火)

20日撮影の紫金山アトラス彗星(C/2023 A3)

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●紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
2024年10月20日18時12分~ シグマ 105mm F1.4 Art 絞りF2.5 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO400 20秒露出一枚撮り SWAT-350V-specによるノータッチ追尾 Photoshopで画像処理 撮影地 長野県塩尻市
 
天気予報によると20日(日)と21日(月)は絶好の撮影日和になりそうとの予測で、両日とも晴れそうなエリアを物色して長野方面への遠征を決めました。安宿に一泊してのダブルヘッダーです。機材はお気楽にシグマ 105mm望遠とSWAT-350V-specのみのシステム。設置、撤収ともあっという間に終わります。それでいてSWATの追尾精度は大型赤道儀並みですから、105mm望遠のガイドは当然のようにノータッチです。

さて、初日(20日)は宿を取った岡谷から20分ほどで行ける諏訪湖西側の小高い山にある駐車場から狙いました。初めての撮影地なので、まずは Light polution map でだいたいの光害を調べたところ、諏訪や岡谷の影響はありますが、彗星のいる西側は大丈夫だろうと判断しました。現地到着後に機材を設置して暗くなるの待ちました。しかし残念なことに肝心の西側の空に雲が居座ってなかなか彗星が捕らえられません。薄明終了から月が昇るまでの18時30分~50分頃のゴールデンタムは逃しました。雲が取れて彗星が全貌を現したのは19時15分で、その時の地平高度は15°程度で、さらに低空の透明度はかなり悪く、良質な元画像はほとんど得られませんでした。残念な結果となりましたが、無理矢理コンポジットして処理した画像を下に掲載します。21日に撮影の分はこれから処理しますので、一両日中にはブログに掲載します。クリアーに撮影できたので、今回の画像より多少なりとも好結果を期待できそうです。
 
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●紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
2024年10月20日19時15分~ シグマ 105mm F1.4 Art 絞りF2.5 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO800 30秒露出×11枚コンポジット(彗星核基準) SWAT-350V-specによるノータッチ追尾 ステライメージ9、DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 拡大トリミングあり 撮影地 長野県塩尻市
 
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西側にはずっと雲が居座って、スッキリとはいきませんでした。
 
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日没と撮影機材。
 
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今回のお気楽システム。自分でいうのもなんですけど、なかなか使い勝手がよくて、お気に入りの組み合わせです。
 
https://www.unitec.jp.net/

2024年10月15日 (火)

伊豆大仁での紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)

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●紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
2024年10月14日18時10分~ シグマ 105mm F1.4 Art 絞りF2.5 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO400 4秒露出×26枚コンポジット(彗星核基準) SWAT-350V-specによるノータッチ追尾 撮影地 静岡県伊豆の国市大仁
 
昨日の関東付近の天気予報で晴れる可能性が高そうだったのが伊豆半島でした。実は別件でこの地へ行く用事があったので、そのついでといっては何ですが、せっかくなので晴れたら紫金山・アトラス彗星を撮るつもりで105mmレンズとカメラ、赤道儀関係を積み込みました。本当に久しぶりの撮影で一年以上撮ってなかったと思います。あまりに間隔が空いたので、何かやらかしそうで心配でしたが、無事に機材を組み上げてスタンバイ完了しました。仲間内からの情報で肉眼で見えるということでしたが、金星以外なかなか見えません。やきもきしているとアークトゥールスが見え始めました。金星とアークトゥールスの真ん中あたりと聞いていたので、そのあたりに目を凝らすとなにやら怪しい光芒を感じました。その付近にカメラを向けてシャッターを切ると見事な尾を引いた彗星が写っていました。時間の経過とともにはっきり尾を引く彗星が見えてきました。「こりゃ大彗星だわ」と思いながら撮影を始めました。

撮影中、彗星の方向に動きの遅い雲が出て、写野に居座ってしまいました。残念ですが仕方ないです。これだけ撮れれば充分です。上の画像は彗星核基準でコンポジットしたものです。地上部分は地上のみ数枚コンポジットしたものを最後のコマの地上に合わせて貼り付けました。それで流れてない画像になっています。彗星らしい姿は一枚でも見事に写せましたが、一枚ではまったく確認できないアンチテイルがコンポジット後に炙り出すことで描出できました。

今回、撮影しながら地元の方や同じホテルに宿泊の星好きなお客さんに声を掛けてもらって、彗星が沈むまでの小一時間、天文談義に花が咲きました。趣味を通してこういったコミュニケーションがとれるのも楽しいものですね。

SWATは終始安定していて無事に撮影終了。片付けも三脚ごとクルマの脇まで運び、バラしてトランクに詰め込み終わるまでわずか10分程度です。このお気軽さはポータブル赤道儀ならではですね。
 
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現地到着時に富士山を望む。いい天気です。
 
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こんな感じに組み上げて、極軸をだいたい北に向けただけです。105mm程度で短時間露光の場合、この程度のセッティングで充分です。
今回はアリミゾキャッチャーにアルカスイスアタッチメントを介してシンプルフォークDX2を装着して2軸運用としていますが、シグマ105mm Artは三脚座でレンズを回せるので3軸となります。赤経赤緯で彗星導入後にレンズを回して地上を水平にしました。

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)はまだまだ楽しめます。来週は薄明終了後の月明かりのない時間帯がチャンスです。露出をかけて尾の淡い部分まで写った壮大な彗星の姿をものにできるかも。私も狙います!
 
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色調整しただけのJPEG撮って出し。
  
https://www.unitec.jp.net/

2024年10月10日 (木)

【新刊】成澤広幸氏の「星空撮影塾」完全保存版

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2024年10月17日に双葉社より成澤広幸さんの新刊「星空撮影塾-完全保存版-」が発売になります。著者の成澤さんはSWAT-350V-specをメイン機材のひとつしてご愛用中で、その追尾精度を活かした高品位な作品を多数発表されています。

さて本の内容はというと、固定撮影から星景写真、ポータブル赤道儀や一般赤道儀での追尾撮影など多岐にわたり、撮影機材から画像処理まで幅広く網羅されています。天体写真を始めたばかりの初心者にとってはバイブル的な一冊になるはずです。撮影のコツやヒントなどもコラムとしてまとめられていて、中級者にとっても自分の撮影技法を見直すことで上達への近道に導いてくれると思います。この秋おすすめの一冊です。

成澤さんのYouTubeページはこちら。SWAT-350V-spec開封の儀はこちら。(20:00くらいから)
 
https://www.unitec.jp.net/

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