天体写真

2025年10月29日 (水)

27日撮影のレモン彗星(C/2025 A6)リベンジ達成

Lemmon_20251029171101
●レモン彗星(C/2025 A6)
2025年10月27日18時10分~ シグマ 105mm F1.4 絞り F2.2 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO800 30秒露出×65枚コンポジット 総露出32分30秒 SWAT-350によるノータッチ追尾 DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 千葉県館山市
 
23日の撮影が不発に終わり、もうレモン彗星は諦めたつもりだったのですが、GPVを見ていると27日は晴れそうな感じです。こうなるとどうにも我慢できなくなってしまうのです。自分は星好きなんだなぁとつくづくと感じました。さて、GPVでは富士山の西側が晴れそうな感じで、いつもの房総半島はずっと曇りがちの予測でした。ただ衛星画像を見てみると、房総半島の下半分は見事に晴れ渡っていて、ライブカメラでもほぼ快晴。曇る感じはありません。そこでGPVよりも衛星画像を信じて、館山の相浜海岸へ行くことにしました。結果は大正解で、ほぼ無風の快晴で絶好の撮影条件となりました。
前回、前々回とレモン彗星の撮影には300mm F2.8を使用していましたが、他の方の画像を見てみるとイオンテイルがトバッと伸びていたため、今回は紫金山アトラス以来の105mm F1.4を選択しました。長い尾が撮れて大満足、リベンジ達成です。楽しい一日となりました。
 
Lemmon_20251029171001
頭部を拡大トリミング。105mmでもかなりの迫力で撮れました。
 
Lemmon_20251029171003
彗星が低くなった頃に地上を取り込んで撮影しました。彗星は5枚コンポジット地上部分は最初のコマから合成しています。
 
Photo_20251029171001
日没前の撮影地にて。無風で暖かくて、最高の天気でした。
 
https://www.unitec.jp.net/ 

2025年10月24日 (金)

23日撮影のレモン彗星(C/2025 A6)リベンジならず

Lemmon_20251024133101
●レモン彗星(C/2025 A6)
2025年10月23日18時00分~ シグマ 300mm F2.8 絞り開放 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO800 10秒露出×10枚コンポジット 総露出1分40秒 トリミングあり SWAT-350によるノータッチ追尾 DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 山梨県南都留郡忍野村
 
17日の撮影では「コカブの呪い」にかかって大幅にタイムロスしてしまい、満足な露出が得られませんでした。コカブはこぐま座β星のことでこの時期の日暮れにちょうど北極星と同じような高さになるので、極軸設置の際に間違えた方もいらっしゃるかと思います。先日、天リフさんの動画配信をみていたら編集長の山口さんがこのことを「コカブの呪い」とおっしゃっていて、私はその呼び名は知らなかったのですが、うまいこと言うなぁと思わず吹き出しました。今回は同じミスは繰り返すまいとしっかり確認しながら17時半には極軸合わせを終えて、撮影に適した暗さになるのを待ちました。しかし西の低空には彗星と接するように雲が居座っていて、なかなか晴れてくれません。仕方ないので18時ちょっと前から10秒露出で適当に写し始めました。トータル100枚くらい撮ったのですが、ほとんどボツでなんとか10枚だけ使えそうなのをビックアップして処理しました。今回も残念な結果でしたが、レモン彗星とは縁がなかったと思って諦めます。露出時間が少ないので無理せずサラッと処理したのが上の画像です。これから月が大きくなるので条件は悪くっていきます。それでも晴れたら出撃するかも…
 
1_20251024125701
当初は気合い充分に富士山に沈むレモン彗星を撮ろうと箱根スカイラインの駐車場へ行きましたが、ご覧のような雲でした。GPVでも好転は望めそうにないと思って急遽山中湖方面へ移動しました。
 
2_20251024173401
到着直後はよく晴れていて正解だったかと思いましたが、結局低空の雲に邪魔されて満足な撮影はできませんでした。
 
Photo_20251024125701
無理矢理炙ると長い尾が確認できます。ただ、あまりのカブリのひどさに炙った処理は諦めました。もっと露出を稼げれば、尻尾をドバッとだせたのになぁと悔しい思いも残りますけど、これは仕方ないです。尾を横切る淡い白線は撮像素子のムラのようです。強烈に炙ると出てきます。
 
Swan_20251024132301
●SWAN彗星(C/2025 R2)
2025年10月23日18時29分~ シグマ 300mm F2.8 絞り開放 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO800 30秒露出×30枚コンポジット(彗星核基準) 総露出15分 トリミングあり SWAT-350によるノータッチ追尾 DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 山梨県南都留郡忍野村

SWAN彗星は地上高度が高くて写しやすいです。彗星特有のエメラルドグリーンがなんとも美しいです。
 
https://www.unitec.jp.net/

2025年10月18日 (土)

17日撮影のレモン彗星(C/2025 A6)

Lemmon
●レモン彗星(C/2025 A6)
2025年10月17日18時16分~ シグマ 300mm F2.8 絞り開放 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO800 30秒露出×20枚コンポジット(彗星核基準) 総露出10分 トリミングあり SWAT-350によるノータッチ追尾 DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 千葉県館山市
 
猛暑の影響か秋の長雨シーズンもずいぶん遅れて、今頃になってぐずつく天気が続いています。昨日(17日)は久しぶりに朝から晴れ渡って、絶好の撮影日和となりました。せっかくなので彗星を撮影しようと機材をクルマに積み込んで出発準備を整えます。当初は伊豆方面に行こうと思っていたのですが、先発した外山電子さんから「東名と小田厚の渋滞がひどい」との情報が入り、急遽房総半島に変更しました。おかげさまで、渋滞もなく2時間ほどで到着。今回向かったのは初めての撮影地で館山市の布良(めら)というところです。
狙うのは西の空に回ったレモン彗星(C/2025 A6)。日没後の地平高度が低く、薄明終了を待っていたら沈んでしまいます。日没後にできるだけ早く極軸を合わせ、目的天体を導入してピント合わせまで時間との勝負です。そのような状況下、大ポカをやらかしました。ここに書くのも本当に恥ずかしいのですが、北極星を間違えるというなんとも情けないミスを犯しました。この時期、北極星とほぼ一緒の明るさの2等星こぐま座βが北極星と同じような高さになるのです。それを北極星と思ってセッティングしてしまったのです。太陽が沈んだ位置から、極軸をだいたい北に向けて、明るいうちから極軸望遠鏡の視野に北極星が光り出すのを待ちます。だいたいでも北を向いていれば極望の視野の中で光りだす星があれば、まず間違いなく北極星なんですが、ちょっと西にズレていたようで、こぐま座βと間違えました。それで極軸を合わせたので、レモン彗星をアークトゥールスからの座標の差分で導入しようとしても捕らえられませんでした。はじめは星図ソフトに入力した軌道要素を間違えたかと思って途方に暮れていたところ、カシオペヤ座が見え始めて「あちゃ~」ということになりました。北極星の位置をまわりの風景で把握してない初めての撮影地だと特にやりがちなので、初心者のみなさんは充分に注意してくださいね。あまりにもタイムロスが大きかったですが、仕方ないです。気を取り直して極軸セッティングし直して、なんとか撮影したのが上のレモン彗星です。めでたしめでたし。
 
1_20251018134001
少し風がありましたが、上々の撮影条件でした。レンズはシグマのサンニッパ。SWATならノータッチ追尾で撮影できます。
 
2_20251018134001
日没後のシルエット。富士山もよく見えてます。このときはまだウキウキ気分でした。
 
Img_1846
色調調整しただけのJPG撮って出し。羽田に向かう飛行機の航路に近いようで、撮影した半分近くのコマに航跡が写ってました。DSSのσクリッッピングで除去しましたが、少し残ってしまったようです。
関東近郊はまたしばらく天気が悪そうですが、来週は月も細いので、晴れたらぜひともリベンジしたいです。
 
下はレモン彗星の後に撮ったSWAN彗星(C/2025 R2)です。
Swan
●SWAN彗星(C/2025 R2)
2025年10月17日18時54分~ シグマ 300mm F2.8 絞り開放 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO800 30秒露出×31枚コンポジット(彗星核基準) 総露出15分30秒 トリミングあり SWAT-350によるノータッチ追尾 DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 千葉県館山市
 
https://www.unitec.jp.net/

2025年5月 7日 (水)

シグマ 105mm F1.4 Artでアンタレス付近

Photo_20250506095701
●アンタレス付近
2025年4月29日23時16分~ シグマ 105mm F1.4 Art 絞りF2.2 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO1600 90秒露出×101枚コンポジット(総露出2時間31.5分) SWAT-350V-spec Premiumによるノータッチ追尾 Photoshopによる画像処理 撮影地 千葉県南房総市(白浜海岸駐車場)

4月29日の房総半島遠征で一番気合いを入れて撮ったのが、カラフルタウンと呼ばれて人気の高いさそり座のアンタレス周辺です。お気に入りのシグマ 105mm F1.4 Artで約2時間半の露出を得ました。この焦点距離だとカラフルタウンの他に青い馬星雲(IC4592)も一緒に構図に入ります。天の川方向に伸びる暗黒帯やさそりのハサミ付近の淡い星雲もまとめて撮れるので、なんともちょうどよいレンズです。
写真中央やや下に写っているオレンジ色の星が一等星アンタレス。そのすぐ右に大型の球状星団M4があります。このエリアはとてもカラフルで画像処理できれいに表現するのがとても難しいです。さそり座は真夏の星座のイメージがありますが、撮影に関しては春の星座に入れてしまってもよいくらいで、梅雨に入る前までが撮影好機といえます。もちろん夏休みに入ってからも撮れますが、薄明が終わる頃に南中していてすぐに西に傾いてしまいます。意外と撮影時間が少なく、条件もよくないことが多いです。月末の新月期が好条件で撮れるチャンスです。ぜひ狙ってみてください。
この撮影に使ったシグマの105mm F1.4 Artも神レンズの一本で天体撮影に最適な性能です。それもそのはず、設計者のO氏は生粋の天文ファンで、おそらく天体撮影に適した贅沢な設計をしてくれたんだと思います。余談ですが、彼はSWAT-350のユーザーでもあります。
 
Photo_20250505133901
PixInsightで天体名を貼り付け。ちょっとした写真星図になっていい感じです。

Photo_20250503093402
上は試写を含めて撮影した101枚のJPGをピクセル等倍で切り出してGIF動画(1コマ0.1秒/トータル約10秒)にしたものです。全画像ガイドエラーなしのパーフェクト、歩留まり100%でした。左右が東西方向になります。約2時間半にわたる露出で約23回のピリオディックモーションが記録さているはずですが、SWAT-350は追尾精度が高いので、105mmレンズでは検出不可能でした。ちなみに105mmレンズの6Dでの解像度は1ピクセル12.8″です。極軸設置誤差のため、徐々に南に下がっていきます。極軸が少し東を向いていたようです。ピクセル等倍なので大きく動いて見えますが、実際には2時間半で13.5′くらいのわずかなズレです。低空のため大気差で見掛けの速度が遅くなり、キングスレート追尾で東に4.5′ほどズレました。画像処理しながらPremiumには低空追尾モードを搭載しているのを思い出しました。次回は忘れずに使いたいと思います。追尾速度のズレは極軸高度の設置誤差の可能性もあります。それから背景の暗さの違いもわかります。撮影終了時がアンタレスがほぼ南中した時刻で、地平高度が約30°、開始の時は20°ですから条件がよくなるとともに空の暗さが増していきます。加えて光害が落ち着くのもあると思います。

https://www.unitec.jp.net/

2025年5月 5日 (月)

さそり座

Photo_20250505090101
●さそり座
2025年4月30日02時05分~ シグマ 40mm F1.4 Art 絞りF2.2 キヤノン EOS 6D(SEO-SP4改造) ISO1600 90秒露出×18枚コンポジット(総露出27分) SWAT-350V-spec Premiumによるノータッチ追尾 Photoshopによる画像処理 撮影地 千葉県南房総市(白浜海岸駐車場)

梅雨入り前に晴れたら、好条件でさそり座を撮影できるチャンスです。今回は50mm標準レンズより画角が広い40mmですから、余裕をもってさそりのS字を取り込めました。もっと露出時間を稼げば、淡い散光星雲や青い反射星雲もさらに描出できそうです。この日の白浜は風が強かったのですが、その分透明度もよかったようで、目視でも天の川が濃く見えました。低空を狙うには、湿度がそこまで高くないこの時期の快晴は貴重です。それにしてもカラフルで賑やかなエリアですね。美しいです。話しは変わって、房総半島には勝浦とか白浜とか紀伊半島と同じ地名があります。関東に住んでる人は勝浦といえば千葉ですが、関西の人は和歌山になるのでしょう。両者を区別するのに勝浦は「安房勝浦」「那智勝浦」、白浜は「安房白浜」「南紀白浜」と呼ばれることもあるようです。これは昔、紀伊半島の漁師たちが魚を追って東に移動し、よい漁場を房総にみつけてそこに移り住みました。そしてふるさとを懐かしんで似た景色の場所に同じ地名を付けたらしいです。千葉も和歌山も東京や大阪の大都市から適度に離れていて、天体撮影に好適な場所が多いというのも似ているもしれませんね。

Photo_20250504162701
PixInsightで星座線と天体名を書き込みました。

Merge
前回の「天の川中心部」と構図が重なる部分が大きかったので、2枚をモザイク合成してみました。
 
https://www.unitec.jp.net/

2025年5月 3日 (土)

シグマ 40mm F1.4 Artで天の川中心部

Photo_20250504100401
●天の川中心部
2025年4月30日03時00分~ シグマ 40mm F1.4 Art 絞りF2.2 キヤノン EOS 6D(SEO-SP4改造) ISO1600 60秒露出×10枚コンポジット(総露出10分) SWAT-350V-spec Premiumによるノータッチ追尾 Photoshopによる画像処理 撮影地 千葉県南房総市(白浜海岸駐車場)
 
シグマの生産終了になった神レンズ「40mm F1.4 Art」で撮った天の川中心部です。前回ブログの14mmによる天の川の前に撮っています。この日は低空まで比較的透明度もよく、さそりのしっぽあたりまでスッキリ写ってくれました。カメラはフィルター改造を施していますので、点在する赤い星雲もよくわかります。バンビの横顔の上(北)にM16、M17、すぐ下(南)にM20(三裂星雲)とM8(干潟星雲)、さらに南に下がって、彼岸花星雲、出目金星雲、えび星雲が写っています。40mmレンズはけっこう画角(対角約57°)が広く、こういった天の川を切り取るのに最適なほか、オリオン座やさそり座などの全景を狙うのにもうってつけと思います。星像は極めてシャープなうえ、周辺減光も小さいので天体撮影にお勧めできるレンズなのですが、いかんせん中古でしか入手できないのが残念です。

 Photo_20250504155801
天の川中心部の星雲星団の位置をPixInsightで画像に書き込みました。
 
https://www.unitec.jp.net/

2025年5月 1日 (木)

立ち昇る夏の天の川

Photo_20250501135001
●夏の天の川
2025年4月30日03時24分~ シグマ 14mm F1.8 Art 絞りF2.2 キヤノン EOS 6D(HKIR改) ISO1600 60秒露出×9枚コンポジット(総露出9分) SWAT-350V-spec Premiumでノータッチ追尾 Photoshopで画像処理 トリミングあり 撮影地 千葉県南房総市(白浜海岸駐車場)
 
昨年11月3日の紫金山アトラス彗星以来、半年ぶりに撮影に出かけました。撮影地は房総半島先端の白浜です。梅雨入り前にぜひ狙いたいのが「さそり座」。南の空に低いのでなかなか好条件で撮れるチャンスが少なく、この時期で月に邪魔されない日は特に逃したくないエリアです。画像はシグマの超広角14mm F1.8で撮った天の川です。白浜の空はとても暗く、東京都心から2時間で行ける場所としてはトップクラスの暗さではないでしょうか。前回の大多喜町での天の川撮影と同様の1分×9枚という短時間露出ですが、元画像のS/Nがよいので、あっさりした画像処理でも充分に見応えのある仕上がりになりました。白浜は海沿いのため内陸より風が強いことが多く、この日もいつもの大多喜町では2m/sほどの予想でしたが、白浜では常時6m/sほどの風が吹いていました。雲だけでなく風の予測もよく確認して、風の強い日は短い焦点距離にとどめておくことをお勧めします。それから海からの風の日はやめた方がよいでしょう。

https://www.unitec.jp.net/

2024年11月 6日 (水)

300mm望遠によるIC1396

Ic1396r
●IC1396
2024年11月3日20時31分~/2018年10月7日19時03分~ シグマ APO 300mm F2.8 DG HSM 絞り開放 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO1600 2分露出×73枚コンポジット(総露出2時間26分)+短時間露光をHDR合成 ステライメージ9、Photoshop、SXT、BXT(PI)で画像処理 SWAT-350V-specノータッチ追尾(2018年はM-GENによる一軸オートガイド) 撮影地 千葉県南房総市/千葉県大多喜町
 
11月3日は紫金山・アトラス彗星を撮影後、そのまま帰るにはあまりにも惜しい星空だったので、続けてIC1396を撮りました。過去に同じ機材で撮った画像があったので、構図をだいたい合わせて2分露出で21枚撮りました。多少のズレは仕方ありません。ズレた部分はトリミングです。デジタル時代ですから、6年前のデータを引っ張り出して新たに撮影したデータを加算できるという技?が使えます。そのうえ画像処理ソフトウェアの進歩のおかけで2018年版よりも大幅に画質が向上できました。フィルム時代を体験してきた私としては、まるで天国です。半分冗談ですが、あの頃はいったい何をやっていたのだろうと思います。(笑)

今回のIC1396もベガから目盛環で一発導入しています。
●ベガ  赤経: 18h 36m 56.3s 赤緯: +38°47' 01"
●IC1396 赤経: 21h 39m 06.0s 赤緯: +57°30' 00"
ざっと、東へ3h 北へ18.5°振っただけで導入できました。自動導入は確かに便利ですが、目盛環を使えば暗い天体も簡単に導入できます。ぜひご活用ください。
※SWAT-310は赤経恒星時目盛環ですから、常に正しい赤経座標を示しており、その場合、差分計算は必要なく、天体の座標に合わせるだけで導入できます。SWAT-350の目盛環は恒星時で回らないので、今回の導入のように基準星からの差分で導入するのが便利です。SWAT-350も一度正しい座標に赤経目盛りをセットし、その後の経過時間(時計の時間で実用上問題ない)を次の天体導入前に西に回してやれば、直後は恒星時目盛環と同様に使えます。ちょっと面倒くさい裏技ですかね。
 
https://www.unitec.jp.net/

2024年11月 4日 (月)

まだ迫力ある11月3日の紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)

Photo_20241104170501
●紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
2024年11月3日18時58分~ シグマ APO 300mm F2.8 絞り開放 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO1600 60秒露出×30枚コンポジット(彗星核基準) SWAT-350V-specによるノータッチ追尾 ステライメージ9、DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 千葉県南房総市

もうすっかり下火になった紫金山・アトラス彗星を300mm望遠で撮影してみました。彗星は地球から遠ざかっても拡大すれば、充分に迫力ある姿で撮れるのが面白いです。今回は300mm望遠で60秒露出ですが、SWATの追尾性能ならオートガイドすることなく点像に写せます。お気軽撮影といえども、星が流れてしまっては気分もがっかりですよね。ぜひSWATの高性能でお気軽でも本格的な撮影をお楽しみください。
 
Photo_20241104171901
上の画像は300mm望遠でベガを中心に入れて、目盛環を使って彗星を導入したときのズレです。一発でこれくらいの精度で導入できます。下の例のように座標をざっと引き算しただけですが、500mmクラスくらいまでならこれで充分な導入精度です。あとは微調整で構図を決めます。それぞれの座標は以下の通りです。

●ベガ
赤経: 18h 36m 56.3s 赤緯: +38°47' 01"
●C/2023A3 紫金山ATLAS彗星(11/3 19時頃)
赤経: 18h 09m 26.1s 赤緯: +03°48' 22"
※彗星は日々刻々と座標が変化しますので、星図ソフトなどでその日の位置を調べてください。

導入後に構図を調節するので細かい計算は必要なく、赤経は西へ27.5m、赤緯は南へ35°カメラを振って導入した結果です。自動導入がなくても天体の導入は意外と簡単です。ぜひご活用ください。
 
Photo_20241104180401
シグマ 20mm F1.4 Art 絞りF2 キヤノン EOS 6D(SEO SP-4改造) ISO1600 10露出×10枚コンポジット 固定撮影
 
広角レンズで固定撮影した画像を恒星基準でコンポジットしました。周辺星像が流れてますが、固定撮影した画像(広角レンズは歪曲収差が大きい)を無理矢理合成したためです。一枚はずつはもっとずっとシャープな星像です。この日は自由雲台を忘れてしまったので、仕方なく固定撮影しましたが、赤道儀で追尾すれば周辺星像はこんなに流れません。
 
https://www.unitec.jp.net/

2024年10月23日 (水)

21日撮影の紫金山アトラス彗星(C/2023 A3)

1021r
●紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)
2024年10月21日18時26分~ シグマ 105mm F1.4 Art 絞りF2.5 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO400 60秒露出×29枚コンポジット(彗星核基準) SWAT-350V-specによるノータッチ追尾 ステライメージ9、DeepSkyStacker、Photoshopで画像処理 撮影地 長野県諏訪郡富士見町
 
前日の20日は雲に邪魔され、満足な撮影ができませんでした。翌21日も同じ場所でとも思いましたが、GPV予報で西方向の雲の状況を検討した結果、少し南下して八ヶ岳山麓の富士見町に変更しました。天候は前日より明らかに良好で、到着したときからずっと快晴。19時に雲がかかるまで何の問題もなく撮影できました。上の画像は薄明終了あたりから曇るまでの29分間の露出を彗星核基準で合成したものです。アンチテイルがはっきりと描出できました。充分に暗くなってからの撮影なので、恒星の数がこれまでの薄明中の撮影より圧倒的に多くなりました。彗星核基準でコンポジットしたため恒星が流れていますが、核の左に見えるふたつのもやっとしたものは球状星団です。左がM10で右がM12です。紫金山・アトラス彗星は、これからどんどん小さく、そして暗くなりますが、彗星の面白いのは小さくなった分、焦点距離を長くして撮ると意外と似たような迫力で撮れることがあります。そうなるとSWATの追尾精度がさらに活かせます。もうしばらくは楽しめます! 晴れたらぜひ狙ってみてください。今回は一泊して彗星三昧の撮影旅でした。仕事から離れてとても気分転換になりました。たまにはこういう撮影もいいものですね。

※SWATは超高精度で恒星時追尾しますが、地球に近い彗星は恒星時では正確に追尾できません。恒星と彗星の両方流れないように露出時間のバランスを取ることが大切です。21日の紫金山・アトラス彗星の見掛けの速度は恒星時より遅いので、追尾モードを太陽にして恒星とのバランスを調整するとより露出時間を延ばせる可能性があります。(その時の見掛けの速度は星図ソフトなどで調べてください)彗星は基本的に地球に近いと見掛けの動きが大きく、遠く離れると恒星に近くなります。また赤緯方向にも動くので何枚か試写してチェックするようにしてください。ちなみに21日は恒星時と彗星の見掛け速度のほぼ真ん中くらいが太陽時でした。
 
Photo_20241023123401
ところで初心者の方から日没から暗くなってくる段階の彗星導入が難しいという話をよく耳します。肉眼彗星なら簡単ですけど、暗い彗星や天体は簡単には見つけられないものです。そんなときに頼りになるのが目盛環。実は今回の撮影でも最初は目盛環を使ってそこそこ明るいうちに導入を終わらせています。
上の星図は21日18時、諏訪の西の空です。左下に金星、真ん中上に紫金山アトラス彗星がいます。望遠レンズを使って撮影する場合は極軸の設置精度も大切です。まず、北極星が見えてきたタイミングで極軸合わせをして金星を導入します。そこから彗星との差分を目盛環を見ながら回せば導入できます。上の図でいえば、黒い経線が赤経赤緯の座標ですから、ざっくりと赤経は東に30分、赤緯は北に25°動かすだけです。これで試写すれば写野のどこかに入っているはずで、あとは微調整するだけ。広角や標準レンズ程度の画角があれば、極軸をだいたい北に向けただけでも写野のどこかに入っていることが多いです。今回はたまたま金星が近くにあったので、それを使って導入しましたが、もちろん他の星でもかまわないです。SWATは目盛環を装備していますから、ぜひ使ってみてください。探すのに時間を無駄にするのはもったいないです。
※500mmクラス以上の長焦点の場合は基準星との差分をもっと正確に出さないとズレが大きくなります。
 
1_20241023114901
今回はポルシェ乗りの星仲間(SWATユーザー)とご一緒しました。
 
2_20241023112101
私の撮影システム。SWAT-350にシンプルフォークDX2で赤緯体を構築、カウンターウェイトで東側荷重を維持して安定追尾を狙います。レンズはお気に入りのシグマ 105mm F1.4 Art、これは神レンズです。
 
3_20241023112101
日没後のシルエット。撮影開始までしばしの休憩時間。
 
https://www.unitec.jp.net/

より以前の記事一覧