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2014年10月20日 (月)

燃木星雲と馬頭星雲

愛知県春日井市にお住まいのHUQ様より、燃木星雲と馬頭星雲の作品をお送りいただきました。SWAT-350にコーワプロミナー500mmを搭載しての撮影です。

Photo_3 ●燃木星雲と馬頭星雲
KOWA PROMINAR f=500mm F5.6、 FUJIFILM X-E1(天文改造済)、光害カットフィルタ LPS-D1使用、ISO800にて露出10分、12分、14分、計16枚のコンポジット

■コメント
いつものように、SWAT-350にて1軸オートガイドで撮影です。光害の状況も、下の写真のような有様です。少しでも視界を広く確保するため、GITZO GT5542LS の北端の脚を少し伸ばし、三脚を南に傾けた状態にしています。マンフロットの 100mm BALL レベラーで水平を出し、その上にゴニオ式微動雲台を載せています。

500mm もの望遠になると、許容追尾誤差は理論値で全幅2秒角になってしまいます。シンチレーションによる揺れもあり、実際に許容される誤差はもう少し緩くなりますが、それでも全幅4秒角以内には納めたいところです。ドリフト法による極軸設定が完璧に完了していても、それから30~40分も経つと、どうしても赤緯方向のズレが加速度的に増大してきて、10~15分もの長時間露出には耐えられなくなってきます。そこで赤緯のズレ量をオートガイドソフトウェア上でリアルタイムに監視し、次コマは撮影開始から赤緯が4秒角以上ズレるまで10分も保たなさそうだと判断したら、三脚北側の下に置いてある三脚アジャスターで極軸高度を微調整して、赤緯がズレる時間を遅らせる、という手順で撮りました。

コンポジットに必要なコマを全部撮り終えるまで、機材に張り付いていなければならないのが難点ですが、兎にも角にも、赤経体のみのポータブル赤道儀で長焦点を長時間露出する、という行為を、運に頼らずに成功させることができるようになりました。

■係より
いつも、ありがとうございます。もう秋も深まってきて、夜半過ぎれば冬の星座もじっくり撮影できるようになってきました。オリオン座の三つ星の脇にある代表的な散光星雲の「燃木星雲」と暗黒星雲の「馬頭星雲」をSWAT-350で狙っていただきました。光害の残る市街地で、500mmという長焦点で見事に写し取っています。SWAT-350は赤経のみの1軸のため、焦点距離500mmともなると、極軸の設置精度や大気差などもあり、赤緯方向の微妙なズレも無視できなくなります。HUQ様は独自にいろいろ工夫されて、これだけの作品を得ることに成功されています。優れた作品を得るには、機材の性能はもちろんですが、こういった努力も必要なんですね。感服いたしました。空の条件が良ければ、一段と美しい画像が得られることでしょう。ぜひまたお送りください。よろしくお願いします。

Photo_2 HUQ様の撮影機材。アルカスイス規格のパーツを組み合わせて、フォーク式にしています。SWAT-350は薄型で一見すると強度がなさそうに見えますが、極軸には30~40cm用赤道儀と同様の頑丈な対向ツイン・ベアリングを投入しています。HUQ様のように500mmクラスを搭載してもビクともしません(むしろ三脚など他の部分の強度に気を配ってください)。

光害の多い空での撮影は、光害カットフィルターを装着しても星雲の写りはずいぶん淡いと思いますが、多数枚コンポジットと強力な画像処理で「あぶり出す」ように見事な写真に仕上げるHUQ様の手法は、都会の天文ファンに夢と希望を与えてくれます。

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