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2019年11月

2019年11月22日 (金)

1200mmで撮る迫力のバラ星雲。

愛知県春日井市のHUQ様から、ご自宅ベランダから1200mmで撮影した「バラ星雲」をお送りいただきましたので、ご紹介します。
 
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●バラ星雲
2019年11月20日夜半から明け方にかけて タカハシ FS60Q + ニコンTC-20EIII + QHY367C(-10℃) 合成焦点距離1200mm(F20) 露出16分×15枚コンポジット(総露出時間4時間) SWAT350V-spec + SWAT350V-spec DECモード搭載試作機による2軸オートガイド 自宅ベランダにて撮影
 
■コメント
テスト中の低緯度ブロックを赤緯体に転用して撮影した街撮り薔薇星雲です。満月を過ぎてから、まるで晴れないまま新月期に突入してしまいましたが、久方ぶりの晴れ間は一晩中、透明度バッチリな吉日でした。街中でも宝石箱を引っ繰り返したような色とりどりの恒星が撮れるのは、焦点距離の長さの成せるわざです。マルチ赤緯ブラケットの強度も文句無しでしたが、低緯度ブロックの強度は見た目の安心感がたまりません。今後はマルチ赤緯ブラケットは弟分のSWAT-200用にして、SWAT-350は低緯度ブロックで赤緯体を組むことにします。取り付けは六角穴付きボルト2本で簡単ですが、頻繁に脱着するのはちょっと面倒なのが欠点かもしれませんが、逆にSWAT-350を赤緯体だけに使うなら一番スマートな搭載方法と思います。
 
■係より
HUQさんからのご投稿は、これがちょうど50回目の記念作品です。初めてのご投稿はこちらのオリオン大星雲です。5年の歳月が過ぎて、撮影機材もテクニックも大きく変わってますが、撮影場所の自宅バルコニーからは同じです。お送りいただいたバラ星雲はわずか?に4時間の露出とはいえ、なかなかの大迫力で、赤いバラの花とカラフルな恒星たちの美しさをよく引き出しています。光害地とは思えないような仕上がりでびっくりです。現在の機材でオリオン星雲も狙っていただいて、5年前と比べてみたいですね。さて、コメントにありますように今回、試作の低緯度ブロックをテストしていただきました。低緯度ブロックはSWATの底面の35°傾斜をキャンセルするパーツで低緯度地域へ行くときには大いに役立ちます。それを赤緯体搭載に流用した形でお使いいただいてます。実際に取り付けたときの機材一式が下の画像です。この低緯度ブロックの需要はそんなにないと思いますので、量産するかどうかまだ決めかねてます。もし欲しい方がいらっしゃるようならメールでリクエストいただければ、少量生産になっても前向きに検討します。よろしくお願いします。
 
Dp2m0023
赤緯体として搭載しているSWAT-350の35°傾斜をキャンセルするアルミ削り出しのパーツが「低緯度ブロック(価格未定)」です。本来は、赤道に近い低緯度地域でSWAT-350/310をご使用になる時に、充分な剛性を確保したまま35°傾斜を除去するために設計したものですが、画像のように赤緯体としてお使いのときにも役立ちます。アリミゾキャッチャーに固定する際のプレートは「マルチ赤緯ブラケット」のベースプレートを流用しています。このプレートまたは同じ機能の新型プレートも開発予定です。どうぞご期待ください。

2019年11月14日 (木)

SWAT-350V-spec、590mmノータッチによるアンドロメダ銀河。

兵庫県宝塚市にお住まいの吉田隆行様から、発売直前のSWAT-350V-specでノータッチ撮影していただいた「アンドロメダ銀河」をお送りいただきました。
 
Image01 Image02
●M31アンドロメダ銀河
2019年10月31日 タカハシ FC-76DC+FC/FSマルチフラットナー1.04x使用 合成焦点距離 590mm F7.8 ニコンD810A ISO3200 300秒露出×12枚コンポジット SWAT-350V-specによるノータッチガイド 岡山県備前市吉永町にて撮影 ※下画像はガイド精度確認のための中央部拡大
  
■コメント
SWAT-350V-specにタカハシFC-76DCを載せて、アンドロメダ大銀河を狙いました。FC/FSマルチフラットナー1.04xを取り付けたFC-76DCの焦点距離は、約590ミリにもなります。V-specと言えども、約590ミリを300秒露光は難しいかなと思いましたが、東側偏荷重スペシャルモードで実際に撮影してみると、16枚中、12枚の画像はピクセル等倍にしても真円を保っていました(中央部の拡大画像も載せましたのでご確認ください)。
撮影当日は、季節はずれの黄砂やPM2.5の影響もあり、星空の透明度が悪くてやる気が失せ気味でしたが、約600ミリをノータッチガイド撮影できるV-specの追尾性能に驚かされ、一気に気合が入りました。今までは、SWAT-350と200ミリ前後のレンズで天体撮影を楽しんでいましたが、V-spec改造によって、今まで以上にSWAT-350の活躍の場が広がると感じています。
 
■係より
吉田様にはV-spec発売よりひと足早く、β版のテスト撮影をお願いしていました。その成果がこのアンドロメダ銀河です。590mmで5分露出して、ここまで点像を保てたのはびっくりです。もちろんノータッチでです。 V-specの開発当初はPECを搭載して500mmクラスで2~3分露出のノータッチができる追尾精度を想定してましたので、開発者も驚くほどの精度を発揮してくれたようです。ただし、アンドロメダ銀河の緯度が高いことを考慮すると赤道付近では時間調整が必要かもしれません。次回、オリオン座あたりで試していただければと思います。さて、吉田様のアンドロメダ銀河ですが、さすがに関西のレジェンド、申し分ない美しい仕上がりでお見事というほかありません。シャープなピント、豊かな階調、無理に炙らないナチュラルな仕上げ、どれも素晴らしいです。V-specがこれからも吉田様の片腕として、活躍してくれることを祈っております。吉田様の充実のサイト「天体写真の世界」もぜひご覧ください。ブログはこちらです。

2019年11月11日 (月)

1200mmで撮るNGC253。

愛知県春日井市のHUQ様から、ご自宅ベランダから1200mmで撮影した「NGC253」をお送りいただきましたので、ご紹介します。
 
Ngc2532
●NGC253
2019年10月26日~11月9日 タカハシ FS60Q + ニコンTC-20EIII + QHY367C 合成焦点距離1200mm(F20) 露出12分×6枚+16分×170枚コンポジット(総露出時間46.5時間) SWAT350V-spec + SWAT350V-spec DECモード搭載試作機による2軸オートガイド 自宅ベランダにて撮影
 
■コメント
SWAT-350 DEC モード試作機に対する秋の課題です。2週間ほど毎晩追い続けてみました。ガイドは上々。基本的に片側にしか動かない赤緯に対して、赤経は±の両側に振れるため、星像は赤経方向に伸びがちです。しかし赤経もだいたい±2~4"の範囲内に納まっているので、コンポジットした映像はご覧のようにほぼ真円です。(上が北)
新商品のマルチ赤緯ブラケットの強度は特筆モノで、ガイド中に赤緯体に振れたぐらいではガイドは揺らぎませんでした。幅広なため薄いように見えますが、アームの厚みは12mmあり、ネジ穴以外の肉抜きは無いため、ごく普通の2軸のドイツ式小型赤道儀並の強度があります。カメラ・ガイダー込みで5~7kgの鏡筒までは運用できそうです。ドイツ式に比べて、赤緯体が北にオフセットされているため、被写体が南中越えしても切り返すことなく一晩中追尾できます。片持ち式フォーク式赤道儀と比べると、赤経軸に垂直に伸びる腕の長さが極端に短いため、強度に不安がありません。両持ち式フォーク赤道儀と比べるとカメラが赤経軸上に無いため、M81/M82等の天の北極に近い被写体にも楽々鏡筒を向けることができます。来年は是非、星祭り会場等で実機に触って、頑丈さを体感していただきたいです。
 
■係より
新製品「マルチ赤緯ブラケット」の宣伝をしていただきまして、ありがとうございます。12mm厚で充分な剛性が得られることは、これまでの経験で判っていましたが、実際に実用してみないと安心できません。試作品をβユーザーのHUQさんにお願いしてテストしていただきました。DEC対応SWAT-350も何の問題もなく、1200mmもの2軸オートガイドを見事に成功させています。2軸対応であれば、低ノイズ化が可能なディザリング撮影など、高度なテクニックにも挑戦できます。今後のSWATの歩みに、ぜひご期待ください。さて、本題のNGC253はご覧の通りの迫力で、ガイドも完璧。申し分ありません。光害のひどい春日井市内の街中で46.5時間分の露出を重ねた結果は上々ではないでしょうか。空が暗い場所ならどんな作品になるんだろうと想像されますが、対象に向けててシャッターを切り、あとは朝までほったらかしで寝てしまうという撮影スタイルのため身体に負担がかからず、1コマ16分ですから枚数も増えない?ので、こういった楽しみ方もありでしょう。ウィークデーに露出を稼ぎ、週末に画像処理という人生も悪くないかも…(笑)
 
Photo_20191110134001
電源や夜露の心配がないのもベランダ撮影ならではといったところでしょうか。温度変化によるピント位置の移動はF20と暗いため、気にならないそうです。

2019年11月 9日 (土)

RedCat51によるM31アンドロメダ銀河。

神奈川県川崎市にお住まいの原田裕美様より、今話題のRedCat51で撮影した「M31アンドロメダ銀河」をお送りいただきましたのでご紹介します。
 
M31 M31_20191107092501
●M31アンドロメダ銀河
2019年11月1日22時55分~ RedCat51 口径51mm 焦点距離250mm F4.9 キヤノン EOS 6D(ノーマル)  90秒露出×87枚コンポジット SWAT-310ノータッチ追尾 撮影地 朝霧高原
 
■コメント
ご無沙汰しております。前回写真を投稿させていただいてから、もう3年も経ってしまいました。今まで広角レンズだけで撮影していましたが、今回初めて望遠レンズを使ってみました。4月に購入したRedCat51ですが、天候やら何やらでなかなか使う機会がなく、ようやくじっくりと撮影することが出来ました。低価格の望遠鏡ですが星像は大変シャープです。スクエアリング不良により周辺星像が悪化する個体があるらしいですが、幸い私の手に入れたものは周辺まで充分きれいな星像でした。これだけシャープな星像ですと赤道儀のガイド不良が目立つものですが、今回のアンドロメダ、90秒露出で90枚、2時間15分すべて完璧な追尾でした。90枚中、飛行機と人工衛星で3枚ロスしただけでした。SWATとRedCat51、大変相性が良さそうですので、楽しく使っていきたいと思います。
 
■係より
ようやく秋の長雨シーズンも終わって、これからは天体撮影が大いに楽しめそうですね。原田さんからはカシオペヤ座以来、3年ぶりのご投稿となります。いま人気のRedCat51をSWAT-310に搭載してのノータッチ追尾撮影となります。250mmで90秒露出で90枚中87枚が点像とのことで、この歩留まりの良さが、SWATの追尾精度の高さを示していますね。お送りいただいた秋の代表的天体「アンドロメダ銀河」ですが、上のノートリ画像では最周辺までシャープな星像で光学性能も高そうなことがうかがわれます。下の拡大トリミングではアンドロメダ銀河の暗黒帯や周辺の淡い部分の描出すばらしく、全体としてとてもバラスのよい美しい姿を捉えました。黄色みがかった中心部と青みがかった周辺部の色彩もナチュラルです。さすが長時間露出という感じです。Hαが通れば、ポツポツとピンクの星雲が写ったかもしれないですね。よい空で2時間超えの大作、ありがとうございました。この組み合わせで、いろいろな天体を狙ってみてください。次回作もぜひお送りください。期待しおります。

2019年11月 7日 (木)

ビクセンFL55SSによるオリオン座中心部。

横浜市にお住まいの渡辺潤様より、ビクセンFF55SSによる「オリオン座中心部」をお送りいただきましたのでご紹介します。
 
Orion
●オリオン座中心部
2019年11月2日0時52分~ ビクセン FL55SS+フラットナーHD 312mm F5.7+IDAS LPS-D1 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO3200 露出 180秒×34枚コンポジット SWAT-350+M-GENによる一軸オートガイド PixInsight, ステライメージ8, FlatAidePro, Photoshop CC 2019で画像処理 撮影地 神奈川県三浦市城ヶ島で撮影
 
■コメント
3連休入りの11月1日の夜、GPVの予報は快晴だったものの、日中はひどく霞んだ空だったので撮影に行くかどうか悩んだ末、近場の三浦市城ヶ島で撮影してきました。夜中少し透明度が上がったのか、思ったよりもよく撮れていて、分子雲をある程度あぶり出す事ができました。ただ、3時間程度撮影する予定が途中から雲が広がり始め、2時間しか撮影できず、HDR合成用の短時間露光も撮影できなかったのは残念です。また、1軸ガイドの影響でしょうか、東西方向にスジが入っていますが、まだまだ画像処理技術が未熟でうまく消し切れておりません。この日は終始5m/sec強の風が吹く状況だったため、オートガイドを使用していてもどの程度使える画像が撮れているのか心配でしたが、結果37枚中34枚はほぼ流れておらず、残る3枚も明らかに雲が掛かった影響だったため、実質100%の結果を結果を残してくれたSWATの安定度には、改めて驚かされました。蛇足ですが、ステライメージ8で現像した際、どうしても色が出てこなかったため、PixInsightを初めて使ってみたのですが、一発で期待する色が出てきました。ちょっと本気でPixInsightに取り組もうと思います。
 
■係より
神奈川県の三浦半島の先端にある城ヶ島での撮影です。光害の少なかった頃は城ヶ島でもものすごい星空が広がったのですが、いまは東京、横浜、横須賀など都市光害の影響で当時の星空は望むぺくもありません。しかし南方向には何もないので条件はよく、赤道付近のオリオン座なら、分子雲まで写し出せることがわかります。第三京浜、首都高神奈川線、横浜横須賀道路に便のよい方は、お気軽な撮影地としてよいかもしれません。とにかく首都圏近郊には撮影に適した場所が少ないので、貴重な情報です。さて、ビクセンFL55によるオリオン座中心部です。300mmクラスのきわめてシャープな光学系のため、一軸オートガイドして3分露出でもロスをほとんど出さずにすみました。なお、オートガイドでも東側偏荷重にしてお使いいただいた方が成功率が高まります。画像は仕上げまで丁寧に処理されて、分子雲の描出、星雲の色彩など、すべてが上等で、見応えのある作品なりました。ご投稿ありがとうございました。ぜひまたお送りください。

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